【中小企業の銀行対策】金利上昇局面でも成長に資する前向き資金を調達すべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、金利上昇局面でも成長に資する前向き資金を調達すべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 前向き資金を調達して金利負担分を上回る収益アップを実現する
2 健全な金融機関は前向きな融資に全力で取り組むスタンスである
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 前向き資金を調達して金利負担分を上回る収益アップを実現する
中小企業経営者の多くが、政策金利引き上げに伴う金利負担の増加を懸念しています。
政策金利の引き上げ幅は、その都度、年率0.250%と決して大きな引き上げ幅とは言えない水準ですが、相次ぐ短プラ引き上げによって、試算表上でも、営業外費用の支払利息の増加が顕在化してきました。
多くの中小企業経営者は、「ここはぐっと我慢で、借入の約定返済を粛々と進めて、借入残高を圧縮する他ないな」と弱めなマインドとなっているように見受けられます。
確かに、メガバンク短期プライムレートの推移は、長らく年率1.475%でしたが、ゼロ金利、マイナス金利の解除によって2024年9月に1.625%(0.150%上昇)、2025年3月1.875%(0.250%上昇)、2026年2月2.125%(0.250%上昇)、2026年8月2.375%(0.250%)となっていて、来月2026年11月2日には2.625%(0.250%上昇)が決まっています。
来月には、2024年9月以降、短プラ引き上げ幅は通算で1.150%に達します。
支払利息の増加額は、年間の短プラ連動の借入金平残が1億円当たり1,150千円で、確かに、中小企業経営者の目線からすれば無視できない水準であることは間違いありません。
一方で、円安などの影響から物価上昇が続いていて、2026年8月の消費者物価指数は102.2に達し、短プラ上昇幅よりも物価高が先行していることも勘案する必要があります。
大切なことは、消費者物価ベースとはいえ、物価上昇幅が2.2%に達しているため、物価上昇幅を上回るような収益良化が必須です。
このため、生産設備の増強など省力化や生産性向上のための設備投資と設備資金の調達は必須ですし、売上増に伴う増加運転資金に対応するための前向き資金の運転資金は調達して、会社を成長軌道に乗せていくことが何より肝要なのです。
一見すると、金利上昇に伴って、設備投資を手控えたり、増加運転資金の調達に及び腰になってしまいがちなのですが、金利上昇よりも物価上昇圧力の方が強いことを中小企業経営者は認識をして、会社が成長するための前向きな資金調達を今、行わなければならない時なのです。

2 健全な金融機関は前向きな融資に全力で取り組むスタンスである
とはいえ、中小企業経営者の中には、メインバンクに「前向きな成長資金を融資して欲しい」と打診すると、メインバンクが(この社長、気でも触れたか)と思われるかもしれないと不安に感じる方がいらっしゃるかもしれません。
ここで重要な点があって、今のこの局面で、「成長資金をドンドン出します」という攻めのスタンスの金融機関とそうでない金融機関があることを中小企業経営者は押さえておく必要があります。
具体的に申し上げます。
金利上昇局面に於いて、メガバンクや大手地方銀行など、預貸率が高い金融機関では、成長資金の融資に対応するため、その原資として積極的に預金(特に個人預金)を集めています。
預貸率が高い金融機関では、市場で調達するよりも調達コストの安い預金を積極的に獲得して、成長する企業に前向き資金にじゃんじゃん対応しています。
一方、小規模で、預証率(預金に対する投資有価証券投資の比率)が高く(つまり預貸率が低い)国債等投資有価証券への資金運用の依存度が高い金融機関では、長期金利の上昇から保有する投資有価証券に多額の含み損を抱えていることが多いため、成長資金の融資への対応が鈍くなってしまいます。
実際、私北出は、お客様の中小企業経営者と共に、様々な金融機関営業店にお邪魔をして、金融機関担当者と打ち合わせをしますが、低預貸率の金融機関であればあるほど、成長資金への対応が鈍いことを痛感しています。
この際、小規模かつ低預貸率の金融機関がメインバンクとなっている中小企業経営者は、既往のメインバンクのウェイトを徐々に低下させて、預貸率の高い健全な金融機関にメインバンクをシフトさせていく絶好のチャンスでもあるのです。
ゼロ金利、マイナス金利時代には、預貸率によって金融機関のスタンスに大きな違いはありませんでしたが、金利上昇局面で、小規模で低預貸率の金融機関が単独で生き残ることは極めて困難な状況になりつつあります。
中小企業経営者は、ゼロ金利、マイナス金利時代とは違って、金利のある世界に世の中が転換したことを再認識して、メインバンクを見直す良い機会であることを認識して、自社を成長軌道に乗せていくことを目指す必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

