【中小企業の銀行対策】担当者に「業界ネタ」を教えてあげよう
1 銀行担当者は広く浅くで、「ゼネラリスト」である
銀行担当者、中でもメインバンクの担当者との人的信頼関係は極めて重要です。
他方で、銀行担当者は、様々な業種、業界の企業を融資先として担当しています。
建設業や製造業、卸売、小売といった比較的イメージしやすい業界でも、その業種・業態によって、独特の商慣習が存在します。
意外にも、銀行担当者は、特にメガバンクをはじめとした大規模金融機関だと担当者一人で融資残高ベースで数十億円を超えるようなロットを持っているため、融資先への接し方が「広く浅く」になってしまいがちです。
それぞれの業種、業態の独特の商慣習にまで踏み込んでいくことは物理的に不可能とも言えます。
メガバンクの大企業を大口融資を担当する部署では、部署を変わらず、肩書きは上がっていきながら、同じ業種、業態、同じ融資先を担当し続けるというケースがありますが、中小企業を担当する銀行員は、概ね3年、長くて5年程度でどんどん転勤や係替えが行われます。
言葉を変えると、銀行担当者は広く浅くで、「ゼネラリスト」です。
コロナ禍のご時世、その傾向はますます強まっているように感じてしまいます。
2 銀行員にとっては、「業界ネタ」は新鮮だ
銀行員も色々な人がいますが、多くの銀行員はゼネラリストではなく、スペシャリストを目指したいと考えている人もかならずいます。
特に、最近では、持ち株会社による経営統合、合併、より一層の効率化重視によって店舗の統廃合が進んでいるため、銀行員のポストは減る一方です。
支店が減れば、支店長も、自席も、ポストがなくなります。
若手には影響は軽微ですが、次席以上の管理職にとっては、「オレっていつまで銀行におられるやろ?」とか、「新銀行に残れるやろか?」とか、おくびにも出しませんが、こういうのは切実な問題です。
若手行員は、次席以上のフワッとした危機感を敏感に感じているため、昭和型銀行員を代表するゼネラリストではなく、例えばM&Aを極めたいなどなど、戦略部署を目指したりします。
そのような上昇志向の高い若手銀行員からすると、中小企業経営者からもたらされる「業界ネタ」は新鮮に感じられないわけはありません。
更には、「業界ネタ」を担当者に理解してもらうことは、資金の要請をする時にでも必ずプラスに作用することは間違いありません。
このように、中小企業と金融機関と相互理解を深めるためにも、中小企業経営者の側が、主体的に「業界ネタ」を提供して、人的信頼関係構築につなげていくことが必要不可欠です。
中小企業経営者の皆さん、銀行担当者と融資の要請の時だけ面談することをサッサと止めませんか。
タマには、中小企業経営者が熟知している「業界ネタ」を、銀行員にドヤ顔で語ってみようではありませんか。