【中小企業経営者の心得】売上至上主義の呪縛を解き放つべき理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、売上至上主義の呪縛を解き放つべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 売上増が必ずしも増益には直結しない
2 トップラインの安定によって資金繰りを安定化させる

どうぞ、ご一読下さい。

1 売上増が必ずしも増益には直結しない

コロナ禍の収束以降、円安の進行によって、内需向けの各産業は、コスト高に苦しめられています。
特に、中小企業の場合、自社製品を輸出できるような会社はごく一握りである一方、原材料を直接、間接問わず、海外からの調達に依存しているので、円安によるコストアップが中小企業の収益圧迫要因となっています。

収益を改善するために必要なことは以下の3つです。
1 売上を増加させること
2 コストカットすること
3 1と2の両方を実践すること
という具合に、収益改善の背策は極めてシンプルです。

他方、コストについては、原材料高による原価アップだけではなく、販管費の様々な諸経費も上がっていることと、今時、無駄遣いをしているような中小企業は滅多にないので、コストカットの余地は限定的であるというのが北出の勝手な肌感覚です。

こうなると、経営者としては、「売上をアップしなければならん」と腹を括ることになるのですが、実はこれがまだ簡単なことではありません。
例えば、売上増によって自社でこなせなくなり、泣く泣く外注先に仕事を出しても、人件費高によって、下手をすると外注に出す方が原価を押し上げることにもなりかねません。

また、慣れない分野や製品に手を出したことによって、確かに売上は増えた一方、その分野や製品への従業員の習熟度が不十分であったことによって、残業が大幅に増えて労務費が嵩んだり、下手をすると、不適合品を出してしまって、大切なお客様からクレームを頂戴することになりかねません。
労務費が嵩むことに関しては、従業員の習熟度アップによって、徐々に平常に回帰していくことが想定されますが、不適合品を出したことによるお客様からの信用失墜は深刻な問題です。

このように、売上増になったからといって、増益につながる保証は何もないのです。

【中小企業経営者の心得】売上至上主義の呪縛を解き放つべき理由とは?
【中小企業経営者の心得】売上至上主義の呪縛を解き放つべき理由とは?

2 トップラインの安定によって資金繰りを安定化させる

とはいえ、経営者としては、トップラインという文字通り、損益計算書の最も最上段に表示される売上高にこだわるのはもっともなことです。
暗に(売上増は経営者としての私の経営手腕の賜物ですよ)と言いたい気持ちは当然のことです。

しかしながら、円安のこの時代、売上至上主義はもはや時代遅れです。
売上が上がれば、正比例して増益になるというのは、もはや都市伝説です。

取引関係上、相対的に力が弱い中小企業の場合、売上が増加すると、売掛債権が増加して、むしろキャッシュフローは窮屈になってしまいがちです。
また、季節変動要因によって売上高が変動する業種や業態の場合、入出金のバランスが崩れがちで、一時的に資金繰りが厳しくなってしまいます。

このため、資金繰りを安定化させるために必要なことは、無理に売上増を狙うのではなく、売上の谷を埋めて、売上を平準化させることがむしろ重要です。

倒産の最大の要因は、おカネがなくなることです。
試算表上で、いくら利益が出ていても、おカネがショートしてしまっては、黒字倒産や突然死を誘発しかねません。
コスト高のこの時代を生き残るため、中小企業経営者は、会社に残るおカネをいかに増やすことができるかにこだわって、会社の舵取りを行う必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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