【中小企業の銀行対策】知ってそうでよく知らない金融機関営業店の呼称と役割とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、知ってそうでよく知らない金融機関営業店の呼称と役割について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 本部と営業店との違いを理解する
2 金融機関によって営業店の呼称は様々に異なる
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 本部と営業店との違いを理解する
中小企業経営者にとって、金融機関の組織というものは、大きく、複雑で、よくわからないと感じられるかもしれません。
それもそのはずで、金融機関の組織図を俯瞰してみると、概ねピラミッド型で、もっといえば軍隊組織のようなヒエラルキー的な組織ということができます。
今日は、金融機関営業店の仕組みを紐解いていこうと考えていますが、まずは、営業店に対して、「本部(ホンブ)」という組織を理解することから始めていきます。
本部の役割について掘り下げていきますが、本部は、取締役等役員が決定した経営施策を具体化して、営業店に落とし込む役割と位置付けることができます。
例えば、本部の営業推進部であれば、取締役等役員が決定した営業施策について、それを全行を挙げて達成するために、営業店毎に数値目標を落とし込むことが営業推進部の業務の一例です。
例えば、全行で融資残高を半年後に3兆5,000億円から3兆8,000億円に増加させるために、A支店にいくら、B支店にいくら、C支店にいくら・・・といった具合に、営業目標数値を割り振るイメージです。
金融機関によって違いがありますので、一概には言いにくいのですが、本部組織としては、総務部、企画部、融資部(あるいは審査部、俗にいう本部与信所管部署)、資金部、証券部、国際部、業務部、事務部、検査部などがあり、ざっくり言ってしまえば、本部は営業店のお目付役というようなイメージになるかもしれません。
ちょっと大袈裟で、若干見当違いかもしれませんが、映画、テレビドラマの「踊る大捜査線」で、警察本部刑事部捜査一課の○×班が所轄署に設置された特別捜査本部を仕切るという場面が出てきますが、「踊る大捜査線」の捜査一課が金融機関の本部で、所轄署の刑事課が営業店と言った風に感じてもらえるとわかりやすいかもしれません。
基本的に、金融機関の本部も営業店も全行挙げて経営方針を達成するという点で利害は一致するはずですが、いかんせん、金融機関の組織は大きく、複雑であり、一部で属人的な要素もあることから、どうしても営業店からすると「うわ、本部の調査役がやってくるらしい」と予防線を張ったり、本部の例えば検査部であれば、「営業店は不正をする」という前提で臨店するようなことになるため、金融機関の本部と営業店の関係は簡単にはいかないというのが実態なのです。
中小企業経営者からすれば、普段は、営業店とその担当者や上席者と直接コンタクトを取るのですが、本部といえば、融資案件で営業店で決裁できず、本部決裁が必要となるケースだと、担当者が「これから、本部に稟議を上げますので、社長、あと1週間お待ち下さい」というやりとりが中小企業経営者にすれば身近な「本部」であり、与信所管部署(融資部や審査部等)という存在が身近な存在になるわけです。

2 金融機関によって営業店の呼称は様々に異なる
ここまで、金融機関の本部組織について掘り下げてみましたが、次は、営業店の呼称などについて話を進めていくことにします。
金融機関の営業店の役割は、金融機関によって違いがありますので、一概には言うことができませんが、ザクっとイメージから入っていくことにします。
金融機関の営業店で最も数が多いのが、支店です。
支店の長は支店長で、支店長が支店内の決裁権限を持っていたり、人事権を掌握していたりします。
他方、金融機関の多くでは、支店がフルバンキングの役割を担っています。
フルバンキングとは、個人向け(リテール)取引も事業性資金(法人向け)の取引も行っています。
支店ではなく、住宅地のど真ん中にある営業店で小規模なものは、出張所と呼んで、事業性資金は取り扱っていない営業店も存在します。
ちなみに、金融機関の場合、営業店を「営業所」と呼称することはほぼありません。
なので、営業店の長は、「所長」ではなく、「支店長」としっかりと使い分けなければなりません。
支店を名乗っていても、個人取引のみに特化していて、事業性資金の取引は、支社や法人営業部という組織に分別している金融機関もあります。
また、支店でも、事業性資金の取引を規模の大きな支店に集約して、融資係や営業担当者をまとめている金融機関もあります。
また、合併行の場合で、旧本店営業部を(地名)営業部と名乗っていたり、本店ビルに入っている営業店を本店営業部と言ったりします。
本店営業部は、本部ビルにたまたま同居する営業店で、本部組織ではありません。
本店ビルの1階から3階までを本店営業部という名の営業店があって、4階から上層階が本部組織といった具合です。
なので、本店営業部長は、支店長と同格というのが通常です。
とはいえ、営業部長のことを間違っても、支店長と呼んではいけません。
何かにつけて、「部長」と呼ぶと、本店営業部長も悪い気はしないからです。
一方、同じ支店でも格に差があったりして、A支店長さんがX支店長に人事異動となった際、A支店よりX支店の方が格が上であれば、ご栄典となります。
たとえ、支店の建物が古くても、格が上の支店は暗黙の了解の中で存在していますs。
支店が格上なのか、格下なのかを知る一つの目安が「店番」です。
店番が114より102の方が格上というケースはままあります。
このようなことを総合的に勘案して、支店長が人事異動で新たに赴任してきて、「新任ご挨拶」の名刺を出してきた場合に、「支店長は移動前はどちらにいらっしゃったのですか?」と質問して、支店長が栄典でやってきたのか、どこかの営業店の次席(副支店長や次長)から昇格してきたのか、はたまた左遷されてきたのかを知ることも大切なのかもしれません。
中小企業経営者は、人事異動に関する情報を日経電子版からいち早く入手することで、自社のメインバンクの組織特性をしっかりと把握をすることが銀行対策上、有効であることを認識する必要があるのです。

