【中小企業の銀行対策】決算書の信頼性は連続性が鍵である理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、決算書の信頼性は、連続性が鍵である理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 売上も費用も計上基準を厳格にする
2 連続性の有無は比較をすれば見え見えである
どうぞ、ご一読下さい。
1 売上も費用も計上基準を厳格にする
決算書、試算表が正しく損益を反映するためには、「発生主義」による損益計上が必須です。
売上計上は、役務提供が完了したベースであることが正しいのですが、例えば、建設業であれば、完成工事ベースであったり、進捗基準ベースであったりします。
完成工事ベースでも進捗基準ベースでもどちらでも、毎期同じ基準で計上されていれば、何も問題もありませんが、「なんとか今期、赤字を確保するために」とかの理由で、計上基準を決算期によって変更してしまうと、決算書の連続性を保つことができなくなります。
少なくとも、計上基準を変更する場合には、注記で、計上基準の変更を謳うべきですし、安易な計上基準の変更は、金融機関等債権者から決算書の信憑性を疑われることにもなりかねません。
費用についても、この令和の時代になっても、現金主義で計上されているケースもなきにしもあらずです。
「決算期末には洗い替えをして決算整理をするから大丈夫」という声も聞こえてきそうですが、それでは、少なくとも月次の試算表の信頼性が担保できなくなります。
業種、業態を問わず、売上も費用も計上基準を厳格にして、連続性を保つことが、絶対に必要なことです。
2 連続性の有無は比較をすれば見え見えである
決算書の信頼性は連続性が鍵であることを考えていますが、例えば、北出の場合、お客様の会社の経営改善計画書を作成する際、過去の決算書の実績から、アクションプランの改善数値を加味して、現進行年度以降の将来のPLとBSをシミュレートしていくのですが、過去の決算書の連続性が保たれていないケースに直面することがあります。
些細なことかもしれませんが、月末、期末近くの仕入や外注費の翌月や翌期に回していたり、安易にBS上の勘定科目同士を入れ替えるようなことをすると、PL、BS共に、売上高に対するウェイトにブレができてしまいます。
ビジネスモデルが大きく変わらなければ、売上原価内も販管費内もコストに大きな異常値は発生しないはずなのですが、時折、「あれれれ、これってイジってるな」と感じることが少なからずあります。
このような異常値は、金融機関の本部の与信所管部署のベテラン調査役はしっかりと見抜いています。
明確に「粉飾だぞ」と言ってしまうと金融機関として支援継続は打ち切りとなってしまうので、露骨に「粉飾だ」とは言いませんが、「臭いな、この会社は」というくらいは、頭の片隅でアラートが出ています。
金融機関から融資を受けている限り、決算書はPLもBSも共にとても重要なものです。
見かけ上、黒字に見せかけるようなセコい手を使うのはやめて、採算割れとなっているのであれば、不採算となる原因を究明し、収益改善に本気で取り組む方が建設的です。
決算書の信頼性を担保するためにも、中小企業経営者は、経理担当に決算を丸投げするのではなく、自ら決算書の信憑性向上に努める必要があるのです。