【中小企業の銀行対策】銀行員が口にする「平残」と「末残」の違いとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、銀行員が口にする「平残」と「末残」の違いについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関の売上高の大半は「貸出金利息」である
2 金融機関営業店の業績評価は、「末残」ではなく「平残」で決まる
どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関の売上高の大半は「貸出金利息」である
中東情勢も相まって、中小企業経営者は、コロナ禍ほどではないにせよ、リスク回避の傾向を強めているように北出は感じています。
このため、中小企業経営者は、設備投資を手控えているため、金融機関では、融資先中小企業の資金需要の掘り起こしに躍起です。
金融機関の本業はどこまでいっても貸金業なので、融資残高を増やしていかなければなりません。
とはいえ、中小企業経営者が金融機関の損益構造を考える際に、ついつい見誤ってしまうのが、金融機関の「売上高」です。
融資残高を増やすことが金融機関の思惑ですが、融資残高を増やすことが売上高を増やすことには直結しないということが中小企業経営者にはピンとこないかもしれません。
金融機関の「売上高」は、融資をして貸出金から得られる受取利息に該当します。
融資残高を増やさなくても、政策金利が引き上げられて、自行短プラが上がれば、黙っていても金融機関は、増収となるのです。
また、極端なことを言えば、いくら融資残高を増やしても、その融資が無利息であれば、金融機関の売上高は発生しないことになります。
現状で言えば、金利の上昇局面が続いていると言えるため、金融機関はゼロ金利、マイナス金利時代とは違って、儲けやすい環境にあることは間違いないのです。

2 金融機関営業店の業績評価は「末残」ではなく「平残」で決まる
金融機関の売上高が融資残高ではなく、貸出金に対する受取利息に該当することを踏まえて、「平残」と「末残」のお話をします。
「平残」と「末残」とは、金融機関用語で一般的に使われない用語です。
「平残」とは「平均残高」の略で、一方、「末残」とは「月末や期末の残高」のことを言います。
ずいぶん以前は、金融機関はどこも「末残」主義でした。
貸出金の9月末残がいくらで、隣の営業店(支店等)よりも多く、全行で10番目の貸出金末残を残すことができましたと言って部店長(支店長等)が胸を張っていました。
しかしながら、月末実行の融資であれば、月中の融資先からの受取利息は1/30に過ぎません。
一方、店内協議を経て保証協会の保証承諾をスムーズに受けて稟議もすんなり承認されて、月末ではなく、20日実行であれば、月中の受取利息は10/30に達します。
金融機関が手っ取り早っく儲けを出すためには、営業店が月末実行ではなく、一日でも早く稟議承認を受け、融資先の社長のサインをもらって実行してしまうことが金融機関の増収に直結することになります。
これは、金融機関営業店では、部店長(支店長等)だけではなく、次席、役席、平行員にまで幅広く認識させられています。
もはや、末残主義は過去の遺物で、金融機関の営業店(もっと言えば、支店長等自身)の業績評価に結びついているので、取り組める融資案件は1日でも早く金融機関は実行に移していきたいというのが、本音のところなのです。
中小企業経営者は、金融機関から融資を受けている限り、金融機関の業績評価の仕組みを知っておく必要があるのです。


