【中小企業の銀行対策】金融機関の経営統合が中小企業に及ぼす効果と影響とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、金融機関の経営統合が中小企業に及ぼす効果と影響について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 自社のメインバンクの経営統合はネガティブな影響だけではない
2 経営統合の方法と経営統合後の力関係が重要である
どうぞ、ご一読下さい。
1 自社のメインバンクの経営統合はネガティブな影響だけではない
ここのところ、金融機関の経営統合を巡る報道が散見されます。
関西だと、滋賀銀行と池田泉州銀行との少額出資を伴う業務提携が発表された他、関西のお隣の東海地方では、地銀大手の静岡銀行と第二地銀大手の名古屋銀行、あいち銀行を中核とするあいちFG(フィナンシャルグループ)と三重県を地盤とする三十三FGの経営統合が公表されました。
金利上昇局面で金融機関の収益環境は改善する方向にある中で、地域金融機関の経営統合が顕在化しています。
地域金融機関であっても、システム投資は過大になりがちで、スケールメリットが先行するようになってきていることに加えて、地方経済の疲弊と中小企業の後継者難によって融資先となる中小企業の数が減少傾向を辿ることは必至です。
地域金融機関としても単独での生き残りは難しくなってきていて、生き残りをかけて経営統合に踏み切っているというのが実際のところです。
このように、地域金融機関の台所事情は決して潤沢ではありませんが、地域金融機関から融資を受けている中小企業経営者としては、自社の取引金融機関、中でもメインバンクが他行と経営統合するとなると、その心中は穏やかというわけにはいきません。
「うちのメインが他行と経営統合して、取り組みスタンスが変わって、貸し渋りに合うようなことなないやろうか?」
中小企業経営者の心の片隅をよぎる不安を完全に払拭することはできません。
幸いなことに、ゼロ金利、マイナス金利を経て、金利のつく世界に戻ってきているとはいえ、バブル崩壊後の金融危機のような緊急事態と言えるような状況ではありません。
バブル崩壊後は、「あの金融機関はもうすぐ破綻する」だとか、倒産候補の30社リストが出回るといったような不穏な状況にはありません。
このため、金融機関の経営統合が、あからさまなダメな金融機関の救済を目的としたものとは言えません。
このようなことから、仮に、自社のメインバンクが他行と経営統合に至ったとしても突如、メインバンクの取り組みスタンスが豹変して、当たり前に受けられていた経常的な運転資金の調達が難しくなるといった状況は考えにくいと言えるのです。

2 経営統合の方法と経営統合後の力関係が重要である
とはいえ、中小企業経営者にとって、自社のメインバンクが経営統合しても、その影響は全くないとは残念ながら言い切れません。
その前に、金融機関の経営統合の方法もしくは方式について触れておきます。
金融機関の経営統合には大きく2つの形態が存在します。
一つは、「合併」です。
A銀行とB銀行が合併して新X銀行が誕生するという場合です。
この場合、両銀行の看板はX銀行に掛け代わりますし、細かいことを言えば、役職員の名刺も全て刷新されます。
「合併」の場合、駅前にあったA銀行とB銀行の営業店(支店等)を統合するのが一般的です(両営業店は店舗内店舗方式によって一つの建物に同居する形になる)。
本部機能も2箇所から1箇所に集約することができます。
この合併となれば、人員削減も容易に行うことができます。
合併の最大の効果が、営業店の統合と人員の削減で最大化されて、合併の効果が最も大きくなるのです。
一方、合併ではなく、持ち株会社方式による経営統合です。
A銀行とB銀行の二つの銀行はそのまま存続させ、株式交換の形で両行の株式を新たに設立される持ち株会社X社が保有する形です。
持ち株会社方式ですと、合併よりはコスト削減効果は限定的になりますが、2つの銀行を存続させることで、両行のアイデンティティを残すことができるという利点があります。
大きな経営方針を持ち株会社が立案して、事業会社である2つの銀行がその経営方針に基づいて運営されることになります。
また、金融機関の経営統合の目的も様々で、営業エリアが重複する金融機関同士が経営統合することで、営業エリア内のシェアを拡大させ、競合他行のシェアを更にダッシュするというケースがあります。
一方、営業エリアが重複しない府県境を跨いだ経営統合というケースもあって、営業エリア内のシェア拡大という守りの経営統合とは違い、よりユニバーサル的な営業展開を図るという攻めの経営統合も存在します。
経営統合によって、本部機能が拡充され、本部に集約される情報がより増えることによって、ビジネスマッチングの機会拡大や、M&Aのマッチングの候補先数が増加するような効果も期待できます。
このように、金融機関の経営統合と一言で言っても、その方式や目的は様々です。
中小企業経営者は、自社の取引金融機関が経営統合するとなった際には、自社に及ぶかもしれない影響をいち早く察知して、他行へのシェア拡大など、必要な方策を先手先手で打つ必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

