【中小企業の銀行対策】大企業向け新長プラ連動レートが適用され始めている理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、大企業向け新長プラ連動レートが適用され始めている理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 市井の物価高から一辺倒の金利上昇とはなっていない
2 短プラから新長プラへのシフトが始めるかもしれない
どうぞ、ご一読下さい。
1 市井の物価高から一辺倒の金利上昇とはなっていない
中東情勢が流動化して、先行き不透明感が強めています。
石油由来の財・サービスだけではなく、運送コストの上昇も相まって、様々なモノの価格が上がっています。
本来であれば、政策当局は、政策金利を引き上げたいところかもしれませんが、住宅ローン金利の引き上げが住宅購入の足枷になったり、既存の住宅ローン債務者の多くが変動金利を選択していることから、一昨年来続いてきた一辺倒の金利上昇には歯止めがかかりつつあるかもしれません。
これは、金融機関の中小企業向け融資についても同様で、一昨年来のメガバンク、大手銀行、地方銀行が引き上げてきた短期プライムレートも落ち着き感が出てきています。
それもそのはずで、政策金利の引き上げに呼応して、短期プライムレートがあまり多くの時間を置かずに引き上げられてきたことによって、短プラ連動の融資の適用レートが肌感覚よりも高くなってしまっています。
下手をすると、中小企業の前向き資金需要を冷やしかねない状況になっています。
中小企業の設備投資や増加運転資金への資金需要が停滞すれば、景気の押し下げにもつながりかねません。
少なくとも、中小企業経営者の肌感覚からすれば、金融機関から郵送されてくる返済予定表(償還明細書)を見るにつけ、「金利が上がったなあ」と大なり小なり感じる方が健全なのです。

2 短プラから新長プラへのシフトが始めるかもしれない
短プラを融資先への適用金利の基準としてきた金融機関の役職員であっても、経営者の感覚と同様に「ちょっと金利が上がり過ぎてるなあ」とうっすら感じているところです。
また、みずほ銀行長プラ連動の融資が多い比較的小規模な地域金融機関の場合は、長期金利の上昇(日本国債、JGBの価格下落)の影響から、短プラ連動よりもトータルの金利上昇幅は大きくなってしまっています。
他方、金利の上昇局面とはいえ、大都市圏、特に、弊所が主戦場としている大阪は、西日本中の地方銀行の大阪支店が激しい新規融資先開拓に躍起です。
こうした中、大手金融機関の一部では、優良先に対して、短プラよりは上がり幅が小さい新長プラ(新型長期プライムレート、特に3年超)連動の融資を推進しています。
新長プラ連動で、アンダープライム(基準金利よりマイナス表示)の設定とすることで、金融機関としては「御社は優良先ですから」とアピールすることができますし、融資の提案を受けた比較的優良先の中小企業経営者からすれば、満更ではないという感覚を得ることもできます。
金利引き上げで空前の利益を出している金融機関としても、割高感の強い短プラ連動やみずほ長プラ連動から新長プラ連動にシフトすることで、優良先を囲い込むことを狙っているのかもしれません。
このように、中小企業であっても、借入のレートの決まり方はこれまで以上に多様化してきています。
株式相場や外為市場の動向も大切ですが、中小企業経営者にとっては、金利の決まり方にうるさくなることで、取引金融機関との関係をより良いものにすることができるのです。


