【中小企業の銀行対策】信用保証協会保証付を脱しプロパー融資を実現するために必要なこととは?
今日は、中小企業の銀行対策として、信用保証協会保証付を脱しプロパー融資を実現するために必要なことについて考えてみることにします。
今日の論点は、以下の2点です。
1 プロパー融資の大前提はBSの健全化に尽きる
2 プロパー融資への取組には金融機関によって濃淡がある
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 プロパー融資の大前提はBSの健全化に尽きる
中小企業経営者の中には、「なんで、うちの会社は、メインバンクからの借入が全額保証協会付なんやろう? 保証料もバカにならんからな」とかねがね疑問に感じている方がいらっしゃるかもしれません。
保証協会の保証をつける、あるいは不動産担保を取るというのは、金融機関にすれば、「保全」の問題です。
「保全」とは一般的にはあまり馴染みのない言葉ですが、金融機関でいう「保全」とは、もしも融資先の業況が悪化したり、破産等の法的措置になってしまって、貸付金の回収が難しくなった場合、どのように回収するかという概念で、金融機関での融資の審査の現場では、重要な与信判断材料となります。
先ほど申し上げた「保全」に関しては、債務者区分や信用格付にも深く関わりがあるところになります。
難しいので、少しだけ説明します。
融資先がPLで赤字に転落して、実態ベースでのBSが実質債務超過にならないまでも脆弱になってしまった場合、債務者区分が「正常先」から「その他要注意先」に滑り落ちる可能性が高まります。
この場合、信用保証協会の保証や担保等で保全されていない部分(これを実質信用部分と言います)について、5%から10%程度の貸倒引当金を積むことになります。
仮にメインバンクの融資残高が1億円で、その内、責任共有部分を含めて正味25百万が実質信用部分であった場合、10%の引当を積むとなると、2,500千円を個別貸倒引当金を積むようになります。
この2,500千円の個別貸倒引当金は、金融機関の営業店(支店等)の損失になります。
金融機関の営業店は、基本的に独立採算制なので、営業店の規模にもよりますが、2,500千円の損失は、部店長(支店長等)にとっては大きな痛手となって、賞与の査定にも大きな影を落とすことにもなります。
部店長(支店長等)がイケイケではなく、審査畑上がりのカチカチの保守的な人であれば、「プロパー? そんなもん、あり得へんやろ。ここは全額保証協会の保証付が大前提や」となって、慎重な与信スタンスになってしまいます。
つまり、プロパー融資を受けるためには、実態ベースのBS上で安定した資産超過を維持する他、単年度のPLでもキャッシュフローの面で、既往の借入金の返済原資が十分捻出されていて、短期的にも中期的にも債務者区分が正常先が維持されるという金融機関の期待値が必要となるのです。

2 プロパー融資への取組には金融機関によって濃淡がある
プロパーか、信用保証協会付かという保全に関して言えば、概ね、上記で申し上げた通り、BS上で安定した財務体質を維持していることと、PLで返済に足る十分なキャッシュフローを創出していることというのが教科書的なお話となります。
とはいえ、実際、プロパーか、信用保証協会付かという点で、上記に加えて、金融機関個別の事情にも大きな関係性があることは否めません。
例えば、弊所が立地する大阪府内では、関西地場の金融機関に加えて、メガバンク、りそな銀行等の大手銀行、そして西日本中の地方銀行の大阪支店等がしのぎを削っているような金融激戦区では、3番手行、4番手行には保全の手段がほとんどなく、信用扱いの実質丸裸での融資先の開拓が横行しています。
また、預金量が数兆円と規模の大きな金融機関では、信用扱いの融資に慣れている一方、地方の保守的な金融機関や、規模の小さな金融機関では、プロパーで融資を出すようなノウハウが乏しいケースが散見されます。
特に、預貸率が低い金融機関は、預金は集められても、プロパーで融資を出せるようなノウハウが乏しく、保全重視になりがちなので、預金が増加している割に、融資残高がほとんど伸びていません。
さらには、債券安の影響を受けて、投資有価証券に少なくない含み損が出てしまっている金融機関は、プロパー資金のようなリスク融資に手が回りません。
スタートアップの企業や、会社の成長スピードを上げたいという経営者からすると、預貸率が低く、小規模な金融機関を相手にしていると、成長に足り得るようなリスク融資を受けられません。
信用金庫よりも地方銀行の方がプロパー融資に長けているというのは誤りで、大阪や京都の大規模な信用金庫は融資残高を伸ばしていますし、地方銀行や第二地方銀行であっても預金量が2兆円程度の規模感にとどまっている金融機関も存在します。
一方、メガバンクなど大手金融機関の場合は、そもそも大手企業を相手にしているので、社長の個人保証に頼らず、保全よりも収益性や成長性を重視する傾向が強いため、プロパー融資にも慣れているとも言えます。
中小企業経営者は、信用保証協会の保証付からプロパー資金への資金調達の転換ができるよう、自社の成長性と収益性をアップさせると共に、財務内容の健全化に全力で努める必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

