【中小企業の銀行対策】メインバンクの「人事」に強くなっておくメリットとは?

今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンクの「人事」に強くなっておくメリットについて考えます。

今日の論点は以下の2点。
1 銀行員にとって「人事」ネタは大好物である
2 「人事」ネタを通じて支店長のヒトとナリを知る

どうぞご一読ください。

1 銀行員にとって「人事」ネタは大好物である

金融機関も金融機関以外の大企業も、コロナ禍で見送り気味であった人事異動が、今年の6月の定時株主総会以降、頻度を増してきているように北出は感じています。
人事異動は、確かに、人心を一新することで組織の活性化が実現きるだけではなく、長期に渡って、同一人物が同一業務に携わることで起こり得る不正や癒着を防止する観点でも、有効です。

とかく、中小企業では、事業所の数が少なく、人事異動そのものが頻繁に実施されないため、金融機関で行われている人事異動について、ピンと来ないところがあるかもしれません。
他方、金融機関の人事異動は日本経済新聞の人事欄で読むことができる他、日経電子版の有料会員であれば、過去に遡って人事異動の履歴を検索することが可能です。
多くの場合で、人事異動前と人事異動後のポストがわかるので、見る人が見れば、栄転人事なのか、左遷人事なのか、はたまた横滑りなのかが一目瞭然でわかります。

支店長のAさんは、この前の融資先の経営破綻で大きな実損が出たので僻地に飛ばされた、とか、副頭取派のBさんは、さっさと本部の部長に栄転して行った、だとか、まるで人事は、ゴシップネタの様相です。

そうです、実は特に、銀行員は、「人事」ネタが大好物です。
銀行員が内輪で飲み会に行けば、おつまみになるのが「人事」ネタです。

融資を受けている中小企業経営者が、例えば若手の担当者であっても、「この前の人事異動で、支店長交代されたんやね」と話を振るだけで、若手担当者は、その中小企業経営者に一目置くことは間違いありません。

ある意味、「人事」ネタは情報ツールでもあるので、とかく、人事異動に縁が薄い中小企業経営者であっても、金融機関に対して、「人事」ネタを繰り出すことは決して損はないお話です。

2 「人事」ネタを通じて支店長のヒトとナリを知る

中小企業経営者の場合、融資を受けている営業店(支店、営業部、法人営業部等)の部店長(支店長や部長)のヒトとナリを把握しておくことは極めて重要です。

ずっと営業店で過ごしてきて、数字を上げてきたような支店長さんは、もしかすると、「イケイケ」の支店長さんかもしれません。
またあるいは、審査部門が長く、審査畑の支店長さんは、融資の案件に渋かったりする可能性も捨てきれません。

従来型の銀行員は、営業店の業務はなんでもこいといった「ゼネラリスト」が主流でしたが、最近では、本部の戦略部署にいて、「スペシャリスト」志向の強い銀行員も増えつつあります。

支店長等の部店長は、営業店の個別の融資の案件の方向性を決める立場にあるので、支店長等の部店長のヒトとナリを把握しておくのは、実は、融資を受けている中小企業経営者にとっては重要なファクターなのです。

支店長が交代するとなると、支店の部下たちは、「どんな支店長がくるのかな」と構えるので、若手銀行員でも、支店長等部店長のキャラクターは曲がりなりにも把握しようとしています。
なんと言っても、支店長は「一国一城の主」で、支店内の部下の人事権を事実上掌握しているので、支店内での支店長は絶対的です。
支店長等部店長のヒトとナリを手っ取り早く知る術は、自社を担当してくれている担当者から情報を得るのが一番の早道です。
また、支店長によっては、本部の部長や執行役員に栄転して、支店長交代後に思わぬ人脈となることもないわけではありません。
いずれにしても、融資を受けている中小企業経営者は、間違ってもメインバンクの支店長のご機嫌を損ねるようなことがあってはならないのです。

このように、銀行等金融機関は、組織の性格上、融資先中小企業経営者から見てもよくわからない世界というのが中小企業経営者の本音です。
中小企業経営者は、支店長等部店長のヒトとナリを把握しておくことが重要なのです。

 

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