【中小企業経営者の心得】B to Cの商いにおいてコストコントロールが難しい理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、B to Cの商いにおいてコストコントロールが難しい理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 B to Cの強みは貸倒が発生しにくいこと
2 B to Cでコストコントロールが難しい理由は営業が終わらないと売上が確定しないこと

どうぞ、ご一読下さい。


1 B to Cの強みは貸倒が発生しにくいこと

小売業や飲食業に代表されるB to Cの商いの特徴は、基本的に一般消費者が顧客のターゲットです。
一般消費者が顧客のターゲットであるため、役務の提供完了と同時に債権回収ができます。

もちろん、クレジットカードや電子マネーの利用が多くなり、今後も増えていくことが予想されるため、即日現金回収のウェートは低下していきますが、クレジットカード会社や電子マネー運営会社が倒産しない限り、平均0.75ヶ月程度の回収サイトで売掛金を回収することができます。

クレジットカードや電子マネーのウェイトが高まることで、支払手数料の負担は増しますが、一方で、金融機関での現金の両替手数料も今後上昇していくことが想定されます。
B to Cの運命として、カスハラの問題の問題は見逃すわけにはいきませんが、基本的にB to Cの強みは、貸倒リスクが発生しにくいことが挙げられます。

例えば、競合が激しく、元々粗利の薄く、回収サイトが相対的に長い卸売業、問屋さんからすれば、貸倒リスクがないことは羨ましい限りなのです。

【中小企業経営者の心得】B to Cの商いにおいてコストコントロールが難しい理由とは?

2 B to Cでコストコントロールが難しい理由は営業が終わらないと売上が確定しないこと

こういう風に書いてしまうと、B to Cはいいことづくめで、B to Bの商いからB to Cに転換した方がいいかもしれないというお話になりかねませんが、B to Cが百戦百勝にはならないというのが現実です。
B to Cがはらむリスクについて、掘り下げてみることにします。

B to Cの最大の問題は、営業前の段階ではお客様の来店数と売上がどのくらいになるのかを予想することが容易ではないことです。
もちろん、相応の業歴を積んでくれば、過去の経験則からある程度売上の見込みを立てることはできるかもしれません。
1年前、2年前、3年前の同じ月、同じ日の売上実績もPOSのデータから参照することは可能です。
また、天候や気温といった要素も、大いに関係してくることも間違いありません。

そのような過去の経験則から、事前に原材料や商品を仕入れて、従業員のシフトを組むことになります。
とはいえ、最終的には営業が終了しないと、売上高は確定しません。

一方、B to Bの場合、営業が獲得してきた案件や入札で落札した仕事は、まずは、トップライン(売上高)が確定します。
トップラインから売上原価を引いた売上総利益が出て、販管費を差し引くことで、営業利益を求めることができます。
つまり、B to Bの場合、トップラインが最初から決まっているため、一定程度のコストコントロールが可能になる強みがあります。

他方で、B to Cの場合、予想よりも来店客が少なく、見込んでいた売上高に対して、売上高の実績が未達になってしまえば、売上高総利益率は下がってしまい、従業員の稼働も落ちてしまいます。
それに対して、来店客数が想定を超えて、ドッとお客様が殺到するようなことが起きてしまうと、営業時間中に原材料がなくなってしまって、売り切れとなり、販売機会を喪失する売り損じが発生してしまいます。

このように、B to Cの場合、売上高が確定するのが営業終了後で、事前の原材料の仕入や人員の配置は、経営者や店長の経験と勘によるところが大きいのです。
このため、B to Cの商いの場合、売上高に対するコストコントロールが難しく、安定して利益を出していくことが容易ではないのです。

B to Cの中小企業経営者は、自身の経験と勘だけに頼るのではなく、過去データや天候等客観的データを積極的に用いて、事前のコストコントロールの精度を上げ続ける必要があるのです。

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