【中小企業の銀行対策】保全の薄い取引金融機関の逃げ足が早い理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、保全の薄い取引金融機関の逃げ足が早い理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 新規融資開拓時の新規融資担当者はユルユルである
2 いざ経営改善局面となった時下位行の逃げ足は早い

どうぞ、ご一読下さい。

1 新規融資開拓時の新規融資担当者はユルユルである

昨年秋以降、メガバンクだけではなく、各地域金融機関が貸出利息を引き上げています。
いわば、貸せば貸すほど儲かるというのが昨年来の金融機関の収益状況となっているので、市場から資金調達するのではなく、自前で預金(特に個人預金)を集めるようになっています。

弊所が主戦場としている大阪府内では、大阪市を中心として、西日本中の地方銀行が大阪支店を構えていて、中小・中堅企業への新規融資に躍起です。
大阪以外に本店を置く地方銀行の大阪支店はどこもオーバーローン(預金よりも圧倒的に貸出金が多いことを言う)です。

地方銀行の大阪支店はなかなかメインバンクの地位を占めることができず、4番手、5番手といった下位行となっているケースがほとんどです。
4番手、5番手行の下位行は、担保や信用保証協会の保証を得ることができないため、保全面では「丸裸(いわば信用貸と言う状況)」です。

地方銀行の大阪支店の担当者は、5年も6年も居座ることがないので、どんどん交代していきます。
「ぜひ、当行で資金のお手伝いをさせて頂きます」と大阪支店の担当者は慇懃無礼です。
いわば、地方銀行の大阪支店の担当者はユルユルなのです。

【中小企業の銀行対策】保全の薄い取引金融機関の逃げ足が早い理由とは?

2 いざ経営改善局面となった時下位行の逃げ足は早い

そんな4番手行、5番手行は、融資先の業況が安定している限り、文句ひとつ言うことはありません。
もっと言えば、金融機関返済を十分カバーできるようなFCF(フリーキャッシュフロー)を創出できていれば、トラブルフリーです。

ところが、いざ、赤字に転落し、実態ベースのBSが傷んでくると、4番手行、5番手行は取組スタンスを一転させます。
なにしろ、4番手行、5番手行には、保全がなく、保全が裸の状態なので、融資先に万が一のことがあったら、100%貸倒損失となってしまって、大損が出てしまいます。
その時の大阪支店長は次の定例人事異動を待たず、国に戻され、下手をすると出向となって片道切符で銀行を去ることにもなりかねません。

このため、赤字に転落し、実態ベースのBSが傷んでくると、取組スタンスは「撤退・回収」となってしまって、何かと言えば、「メインさんにご相談されればええんと違いますか」と事務的にあしらわれてしまうのがオチです。

保全が薄い、あるいは保全がない4番手、5番手行は、行きは良い良いですが、いざとなれば、逃げの一手でその逃げ足は早くて、メイン行やサブ行が呆れるほどです。

このように、担保を入担したり、信用保証協会の保証をつけたりするのはメイン行、せいぜいサブ行までです。
中小企業経営者は、新規融資開拓で突然訪問してくるエリア外の金融機関の担当者に安易になびいてはいけないのです。

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