【中小企業経営者の心得】会社の基本方針を性善説から性悪説に転換せざるを得ない理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、会社の基本方針を性善説から性悪説に転換せざるを得ない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関の基本方針は性悪説で満ちている
2 性悪説を基本方針として会社を守る

どうぞ、ご一読下さい。

1 金融機関の基本方針は性悪説で満ちている

世の中、コンプライアンスの大合唱です。
中小企業経営者の中には、コンプライアンスファーストの現在の風潮に対して、「ちょっとやり過ぎなんと違うか」と違和感を感じている方がいらっしゃるかもしれません。

中小企業経営者がコンプライアンスをイメージする際、一番最初にイメージできるのが「金融機関」ではないでしょうか。
中小企業経営者は、取引金融機関担当者と折に触れて接する機会があるわけですが、一々、書面でのやり取りに対して、(面倒くさいなあ・・・。俺のこと、信用できへんのか)と疑心暗鬼に囚われるかもしれません。
金融機関では、日常的に取引メモのような形で、融資先との面談記録を残している他、融資の可否についても、稟議書による稟議手続きが徹底されていて、決裁権限も明確化されています。

なんと言っても、金融機関はおカネを扱っているため、過去から様々な不祥事が露見していて、それらの教訓をもとに、管理体制を強化しているわけですが、ここ最近でも、役席者が貸金庫から現金や金塊を抜き取っていたことが判明した某メガバンクの例を引くまでもなく、金融機関の不祥事は、過去の出来事ではなく、現在進行形で起こっているのが現実です。

貸金庫から現金等が抜かれた某メガバンクには、所管官庁から強烈な行政指導が下されることで、今まで以上に性悪説を前提とした業務フローが実行されているいくことは容易に想像が付きます。

厳格にルールを明文化している金融機関であっても、不祥事が起こっていることを勘案すると、中小企業経営者としても、自社において不祥事や不正が起こっていないか気になるのが普通です。

金融機関の例から、中小企業経営者にとってみても、不祥事や不正は対岸の火事として笑って済まされることは危険なことであることは間違いなさそうです。

【中小企業経営者の心得】会社の基本方針を性善説から性悪説に転換せざるを得ない理由とは?

2 性悪説を基本方針として会社を守る

次に、お話を中小企業の基本的な会社方針について、性善説か性悪説かという観点から考えていくことにします。
大企業との比較の中で、中小企業の強みの一つとして挙げられることが「大家族的な経営」であることです。
社員総数が、数十人や100、200人程度であれば、およそ、顔くらいは、全部の社員が把握をしていて、もしかすると、出身地とか、出身校といった個人情報まで暗黙の了解で皆が共有していたりします。
このようなコミュニティーの中では、不正や不祥事は起こりづらく、いい意味で、大家族的であるわけです。
例えば、明日、子供の関係でどうしても有給を取りたいという社員がいれば、社長の「ええよ。休んどけ。子供の世話、ちゃんとしたれよ」と鶴の一声で、有給が取れて、零細事業者の場合だと、休暇届といった書面も存在しないケースもなきにしもあらずです。
このような暗黙の了解が効いているのも、会社の基本方針が「性善説」を前提としているためともいえます。

しかしながら、例えば、1日の就業時間が8時間であれば、睡眠時間を8時間と仮定すると、1日の残りの時間は8時間もあって、その8時間は経営者や管理職からも、残り8時間の社員の「別の顔」を知ることはこのご時世、簡単なことではありません。
また、個人の権利の主張が強まっている風潮を受けて、弊所のお客様の会社でも、労働争議に発展するケースもなきにしもあらずです。

こうなってくると、過度に社員を締め付けることは賢明ではないにせよ、ある程度、性善説を封印して、金融機関の例を引くまでもなく、会社のあらゆるやり取りをしっかりと記録に残して、「言った、言わない」という事態を避けることで、不祥事や不正が発覚するいざという時のために、会社として、備えを強化することは避けて通れそうにもありません。

会社の基本方針として性悪説を前提とすることによって、結果的に会社を守ることにも繋がります。
不祥事や不正が明らかになると、その対処のため、本業の利益が吹き飛んでしまったりして、場合によっては、経営が立ち行かなくなってしまう可能性さえ払拭できないのです。

中小企業経営者は、自社の社風が性善説によって支えられていたとしても、会社の基本方針として、金融機関を参考にした性悪説を前提とすることで、会社を守ることに注力する必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

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