【中小企業の銀行対策】年末資金の実行のタイミングを取引金融機関担当者に詰めるべきではない理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、年末資金の実行のタイミングを取引金融機関担当者に詰めるべきではない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 稟議手続きは既に担当者の手から離れている
2 金融機関も年末資金の重要性を痛感している

どうぞ、ご一読下さい。

1 稟議手続きは既に担当者の手から離れている

今日は、2025年12月22日。
今年も押し迫ってきて、残りわずかになってきました。

年末恒例とも言える中小企業の年末資金として、多くの中小企業が年内実行の年末資金を取引金融機関にお願いしています。
このため、信用保証協会も、日本政策金融公庫も、民間金融機関の本部与信所管部署(融資部や審査部等)には年末資金の案件が殺到していて、いわば、「順番待ち」の状態です。
信用保証協会も、日本政策金融公庫も、民間金融機関営業店担当者も、稟議書の起案で手一杯です。

一方、中小企業経営者からすれば、年末には仕入先、外注先にはサクッと支払うべきものは支払ってしまって、スッキリして新年を迎えたい気分でいっぱいです。
また、小規模事業者の仕入先や外注先は、お客様からの入金を心待ちにしています。
お客様からの年末の入金で、賞与や寸志を支払うことを考えている小規模事業者は少なからず存在します。
規模の大小を問わず、お客様からの年末の振込入金は喉から手が出るほど欲しいもので、年末資金の融資も同様です。

年末も押し迫ってきて、年末資金のお願いを取引金融機関にしているにもかかわらず、担当者から連絡がないと、「ほんまに、年内に融資実行してくれるんかいな?」と中小企業経営者からすると疑心暗鬼に囚われてしまいます。
こうなると、中小企業経営者は、ついつい、携帯電話を手にして、取引金融機関担当者の携帯にコールして、「年末資金はいつ実行してくれるんや?」と焦ってしまいがちです。

他方、支店決裁でOKな案件ならとにかく、本部与信所管部署の決裁が必要な融資案件であれば、担当者は既に、稟議書を起案していて、部店長(支店長等)の所見が付された稟議書は、既に本部与信所管部署に回っていることが多いのです。
この場合、融資先の社長から「実行はいつやってくれるんや?」と電話で詰められても、担当者とすれば、「今、本部で決裁中なので、今しばらく待っていただけませんか」と申し訳なさげに、電話口で頭を下げるしかありません。
従って、はやる気持ちはよく理解できますが、「いつ実行してくれるんや」と担当者に電話で詰めるのは控えて、グッと堪えてひたすら待つことに徹するべきなのです。

【中小企業の銀行対策】年末資金の実行のタイミングを取引金融機関担当者に詰めるべきではない理由とは?

2 金融機関も年末資金の重要性を痛感している

「いつ実行してくれるんや」と融資先社長から詰められる金融機関担当者からすれば、「せめて11月中に打診してくれれば。早く行ってよー」というのが本音です。
営業店で決裁できる案件ならまだしても、本部与信所管部署の決裁が必要な案件であれば、3週間は必要になると踏んでおくのが通常です。
しかも、年末資金の案件が殺到する年末であれば、より早い段階で、金融機関担当者に打診する必要があるのです。

一方、金融機関としても、年末資金の重要さは痛感しています。
年末資金の実行が叶わず、会社が経営破綻に陥ってしまうようなことは金融機関、特に地域金融機関としては極力回避したいのです。
地域金融機関の営業エリアは限定されているので、10年後に同じ町の隣の支店に転勤してくるようなことも十分想定されます。
「あの社長、ええ人やったのに、お気の毒に。銀行に潰されたようなもんやで」と恨みを買いたくないのは誰も思うところです。

2025年の年末は12月26日に仕事納めとなる会社が多いようです。
一方、金融機関の年内最終営業日は12月30日です。
年末資金もそうですが、年内にやっつけるべき仕事をやり切って、良いお正月を迎えたいものです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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