【中小企業の銀行対策】知ってそうでよく知らない信用保証協会保証付融資の責任共有部分とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、知ってそうでよく知らない信用保証協会保証付融資の責任共有部分について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関にとって信用保証協会保証付融資はノーリスクではない
2 中小企業が負担する信用保証料はカテゴリーによって差がある
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関にとって信用保証協会保証付融資はノーリスクではない
資産背景に乏しい中小企業が、民間金融機関から融資を受ける際、いわば保証人になってくれているのが各都道府県(市町村単位では、愛知県では愛知県信用保証協会に加えて名古屋市信用保証協会、岐阜県では岐阜県信用保証協会に加えて岐阜市信用保証協会が存在する)に存在する信用保証協会です。
信用保証協会の保証付融資である場合、もしも主たる債務者が銀行等金融機関に返済に支障が出てしまった時、信用保証協会が銀行等金融機関から貸出債権を肩代わりして(これを代位弁済という)、以降は銀行等金融機関から信用保証協会(協会サービサーを含む)に貸出債権が移り、協会サービサーを含む信用保証協会が主たる債務者から債権回収を行なっていくという仕組みです。
銀行等金融機関は、創業後間もなかったり、担保として徴求できるような資産背景が乏しい場合には、信用保証協会の保証をつけて、融資を行います。
主たる債務者は、信用保証協会の保証付であれば、融資実行時に融資期間中の信用保証料を差し引かれます。
差し引かれた信用保証料は、金融機関から信用保証協会に納められて、信用保証協会の維持経費や代位弁済にかかる債権回収経費に充当されます。
信用保証協会の保証付融資は、いわば中小企業全体で維持される保険のようなものであるとも言えます。
他方、金融機関の側からすれば、信用保証協会の保証がついていれば(これを保証承諾と言います)主たる債務者が支払不能になっても信用保証協会から代位弁済を受けることで実損は発生しないというモラルハザードが発生する可能性がなきにしもあらずです。
現に、かつてリーマンショックの際、金融機関が信用保証協会保証付の危機対応資金を実行しておいて、プロパー資金を回収するということが明るみになって、社会的に大きな問題が発生しました。
「保証協会の保証付であれば、なんでもええから融資したれ」という金融機関の保全姿勢を正すためにできた制度が「責任共有制度」です。
コロナ資金のような危機対応資金は信用保証協会の100%保証となりますが、通常の一般扱いの信用保証協会保証付融資の場合、万が一、代位弁済となった際に信用保証協会が金融機関に代位弁済を行うのは、代位弁済時の融資残高の80%です。
残りの20%は金融機関に融資残高が残ってしまう形になります。
仮に、融資残高50百万円で、代位弁済となれば、金融機関が負担する責任共有部分は50百万円のうち、10百万円となります。
別途担保等の保全がない場合には、金融機関は10百万円を実損として被ることになって、次の決算時に貸倒引当金10百万円を計上して、損失処理を迫られます。
このように、信用保証協会の保証付融資だからと言っても、金融機関はノーリスクとはならないのです。

2 中小企業が負担する信用保証料はカテゴリーによって差がある
先ほどは、金融機関から見た信用保証協会保証付融資についてお話ししましたが、次は債務者側から見た信用保証協会の保証付融資について考えてみることにします。
債務者の中小企業が金融機関担当者に融資を打診して、金融機関の営業店での店内協議の結果、信用保証協会の保証付融資とすることが告げられ、信用保証協会の保証承諾が下りて、金融機関の内部の稟議手続きが承認されれば、融資の実行となりますが、融資実行時に金融機関担当者から「保証料はいくらいくらです」と告げられて、現に、融資実行時に保証料が差っ引かれます。
このため、保証料がどのように計算されたのか、詳細に聞かされることはほとんどありませんが、信用保証協会から交付される保証承諾書に保証料の計算結果が記載されています。
信用保証料とはどのように決まるのでしょうか。
無担保で基本になる信用保証料は9段階のカテゴリーで決められていて、最も信用度の高いカテゴリー9では0.45%、債務超過であったりすれば、カテゴリー5の1.15%となって、ずいぶんな差となります。
仮に、実行金額50百万円、期間5年間(60回)の場合、カテゴリー9では、50百万円÷2×0.45%×5年=562.5千円ですが、カテゴリー5であれば、50百万円÷2×1.15%×5年=1,437.5千円となって、その差は実に3倍近くに達します。
現進行年度の保証料は営業外費用として費用計上され、翌期以降約4年分の保証料は前払費用として資産計上されますが、翌期以降、順次費用計上されるため、カテゴリー別での信用保証料の差は、支払利息と同様に、いわば固定費となって、収益を圧迫してしまうのです。
中小企業経営者は、信用保証協会の保証付融資を受けている以上、責任共有制度について理解を深めると共に、支払利息と同様に、信用保証料も信用度によって差があることを認識して、財務体質の健全化に注力していく必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

