【中小企業の銀行対策】リスケジュールの前に取り組むべき経営改善策とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、リスケジュール前に取り組むべき経営改善策について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 リスケしてしまうとリスケが当たり前になってしまう
2 リスケの前に抜本的な経営改善を図る
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 リスケしてしまうとリスケが当たり前になってしまう
民主党政権に政権交代が起きて直後の2009年12月、亀井静香内閣府特命担当大臣(金融)(当時)の鶴の一声で、中小企業金融円滑化法が施行されました。
これまで、中小企業が、リスケジュールを取引金融機関に要請し、リスケジュールが実行されるまでには極めて高いハードルがあり、リスケジュールに至らず、資金調達もできずに事業継続を断念した中小企業への配慮から、リスケジュールをより円滑に行えることを目的とした法律が中小企業金融円滑化法でした。
リスケジュールがなかなか実行されなかった当時からすれば、亀井金融担当大臣の政治的判断は画期的なもので、金融機関では大きな驚きを持って受け止められました。
一方、リスケジュールに金融機関が応じた場合には、金融機関がリスケ先の債務者区分をその他要注意先でとどめることを行政庁は是認することで、金融機関にもアメを与える形になりました。
円滑化法自体は、2013年3月末で期限切れとなりましたが、行政庁が金融機関に対して、債務者からの条件変更には柔軟に対応するよう行政指導を行なってきているので、現在に至っても、事実上、金融円滑化法と同様の運用が行われています。
中小企業金融円滑化法施工からまもなく丸17年が経過しますが、リスケジュールは中小企業の融資現場ではすっかり定着したといっても過言ではないほどです。
他方、実際、リスケジュールが実行されることによって、中小企業の資金繰りは相当程度楽になります。
リスケジュール前に、租税公課(税金や社会保険料)の滞納があっても、元本返済を据え置くことによって、租税公課の滞納が解消できるなど、リスケジュールがもたらす効果は無視できないものがあります。
ところが、資金繰りで出血状態にあった中小企業でリスケジュールが実行されれば、理屈上では、元本返済分の現預金が毎月増えていくことになるのですが、実際問題、なかなかそうはいかないのです。
リスケジュールをしてしまうと、リスケジュールが当たり前になってしまって、抜本的な資金繰り改善につながるケースは弊所の経験則でも極めて稀なのです。
リスケジュールを実行してもらって速やかに、経営改善計画を策定して、それを実行していって、元本返済を再開して、元本返済額を徐々に増額していくのですが、1年後に元に戻すというケースは皆無と言っても過言ではないほどです。
リスケジュールによって、事業継続の可能性が高まることは否定しませんが、一旦、リスケジュールをしてしまうと、言葉は悪いですが、「良い湯だな」と言った具合に、茹でガエル状態になってしまうのです。

2 リスケの前に抜本的な経営改善を図る
ここで改めて確認しておきたいことが、リスケジュールはあくまでも借入金の返済条件を緩和することで、補助金や助成金とは全く違うものです。
その昔、「借りたカネは返すな」という本がめちゃくちゃ売れた時代がありましたが、借金は元本に利息を加えて、耳を揃えて返済するというのが当たり前です。
少なくとも、商道徳上、誰も納得する当然至極のお話です。
借金を棒引きにするという話が仮に出た場合、まともに返済してきている善良な債務者がバカを見るような世の中では絶対にいけないのです。
それに、先ほども申し上げましたが、一旦、リスケしてしまうと、それが当たり前になってしまって、元本返済額を増額して、リファイナンス(期間最長10年間で借換すること)にまで持っていくには極めて長く時間と高いハードルが待ち受けているのです。
このため、リスケジュールを事業継続のための最終手段と位置付けて、まずは、返済が約定通りである段階で、抜本的な経営改善を図り、収益と資金繰りをV字型に回復させることをまずは検討すべきです。
ここで重要なことは、収益が改善して、一定時間を経て初めて資金繰りが良化するという点です。
わかりやすく言えば、試算表が赤字から黒字転換しても、資金繰り改善にはタイムラグが生ずるのです。
試算表はあくまでも発生ベースなので、発生ベースの損益が改善しても、小売業のような現金商売を除けば、すぐに資金繰りは改善しないのです。
リスケジュールを回避するための収益改善と資金繰り良化は、ある意味、会社のこれまでの常識を崩して、あるべき論で会社を半分生まれ変わらせるような覚悟が中小企業経営者に必要となります。
リスケジュールで出血を止めながら茹でガエルで甘々に甘んじるのか、リスケジュールを回避して、険しい壁をよじ登るのか、中小企業経営者としては厳しい選択を迫られますが、オーナー社長であれば、オーナーと会社は一心同体なので、この際、覚悟を決めて、抜本的な経営改善に取り組んで、経営危機から脱することを目指すべきなのです。
弊所では、経営改善に本気で取り組む中小企業経営者を全力でサポートしますので、いつでも北出までお声がけいただければ幸甚でございます。

