【中小企業の銀行対策】粉飾決算が中小企業の余命を縮めてしまう根本的な理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、粉飾決算が中小企業の余命を縮めてしまう根本的な理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 中小企業経営者に囁かれる粉飾決算への誘惑について考えます。
2 赤字を粉飾するのではなく赤字を出し切って解体的な経営改善を断行する

中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。

1 中小企業経営者に囁かれる粉飾決算への誘惑について考えよう

非上場のオーナー経営の中小企業にとってみれば、市場から不特定多数の投資家から資金を集めることは事実上難しいため、設備資金にせよ、運転資金にせよ、所要資金は、金融機関頼みにならざるを得ません。
このため、多くのオーナー経営者は、(うちの会社は、メインバンクからどう見られているのだろうか?)とふと考え、場合によっては、(資金調達を取引金融機関に打診して断られたらどうしよう?)と漠然と不安を感じることも少なくないはずです。

これまでの創業者で、オーナー社長が、ゼロから会社を立ち上げてから、事業を拡大してきて、年商規模が5億になり、10億にもなれば、動くおカネも大きくなります。
創業当初は、(足らずまいは俺と家族でなんとか資金を手当すれば良い)と考えていても、年商規模が大きくなればなるほど、ファミリーの資金で賄えるものではなくなってきます。
年商規模が大きくなってきて、たまたま前期において突発的な赤字決算を迎えてしまった場合には、メインバンク担当者から「社長、2期連続アカは勘弁して下さいよ」とプレッシャーがかかります。
そんな時、現進行年度の試算表が会計事務所から上がってきて、試算表を見るにつけ、(ええ、今期も赤字になってしまうのか)となってしまうと、オーナー経営者は、焦りを感じてしまうはずです。
(これはマズイ)。
ましてや、現進行年度の期末が近づいてきて、残りわずかとなると、営業攻勢をかけたとしても、時間切れになってしまう恐れが高まります。

このような時に、オーナー経営者の頭をふとよぎるのが、(会計事務所と話をして、決算整理で決算書をイジってもらうか)という粉飾決算への誘惑です。
粉飾決算だけではなく、例えば、建設業で資金繰りの目処が立たないとなった場合、メインバンクから工事見合いの引当融資を実行してもらうべく、請負契約書と請書を自作して金融機関に提出したり、一件の工事見合いの引当物件を複数の金融機関に提出して、短期の繋ぎ資金を調達するというのも、昔から続く不正の手口です。

くれぐれも申し上げますが、粉飾決算は、「犯罪」です。
古いお話ですと、岡山の優良企業であった林原が粉飾決算が明るみに出て経営破綻に追い込まれたのが2011年のことです。
近年では、ベアリング専門商社の堀正工業の粉飾決算が記憶に新しいところです。
また、先週経営破綻に追い込まれた全東信についても、設立当初から約20年にも渡って粉飾決算を続けた末、準自己破産となり、破産手続き開始決定を大阪地裁から受けるに至りました。

粉飾決算に手をつけてしまう最大の動機が、銀行融資の継続です。
しかしながら、メガバンクも、関西地場の優良金融機関は、どこも全東信から引いていました。
百戦錬磨の金融機関本部与信所管部署(融資部や審査部等)の審査役や調査役は、粉飾された決算書を直感的に「これ、辻褄合わんやろ」と営業店に差し戻していた可能性が高いと言えます。
メガバンクや関西地場の優良金融機関が全東信から距離を置いた一方で、今般債権者の名前が出てきている金融機関が肩代わりをしていたことが見て取れます。
そもそも、銀行融資を継続するために、決算を粉飾するというロジックが当たり前ですが、はなから論理破綻しています。
次は、粉飾決算が中小企業の余命を縮めてしまう根本的な理由について掘り下げていきます。

【中小企業の銀行対策】粉飾決算が中小企業の余命を縮めてしまう根本的な理由とは?

2 赤字を粉飾するのではなく赤字を出し切って解体的な経営改善を断行する

なぜ、粉飾はいけないのでしょうか?
もちろん、金融機関を騙して、融資金を詐取するという刑事責任が問われることは想像に難くはありません。

しかしながら、粉飾決算が、結果として中小企業の余命を縮めてしまうことは、単純なことではありません。
掘り下げます。

本来、赤字であれば、多額の融資には各金融機関が応じにくくなります。
つまり、資金調達が難しくなるということです。

では、資金調達が難しくなって、事業を継続しようと思えば、まともな経営者であれば、経営改善に取り組むことを決意します。
不退転の決意で、会社の事業を継続させるため、聖域なく、これまでの経営姿勢を抜本的に改めることになります。
具体的に言えば、取引金融機関各行にリスケジュールを要請します。
返済負担を軽減することで、出血を止め、事業継続を最優先させます。
同時に、経営改善計画を策定し、実行に移していくことで、不採算な事業や事業所を手仕舞いして、赤字体質から脱却し、利益が出るような事業を残すことにします。
抜本的な経営改善へのテコ入れを実際に実行に移して、実績として決算数値が改善すれば、取引金融機関各行も協調して取組スタンスを維持することになります。
確かに、抜本的なリストラを断行する際に、血が流れることが想定されますが、そこも経営者の覚悟次第です。

ところが、決算書を粉飾すると、本来赤字であるにもかかわらず、法人税負担によってキャッシュが流出してしまいます。
併せて、金融機関への返済負担が重いまま放置すると、返済によるキャッシュアウトが加速します。
足元の資金繰りがキツくなってくるわけで、足元のキャッシュを確保するため、更なる資金調達を余儀なくされ、より一層返済負担が重くなってしまいます。
まさに、蟻地獄そのもので、このような負のスパイラルが続くと、経営者も「いくところまで行ってまえ」と一か八か、やぶれかぶれの経営判断しかできなくなってしまいます。

しかし、粉飾決算は無限に続けることは不可能で、金融機関が1抜けた、2抜けたとなると、そう遠くない将来、資金調達の道は閉ざされてしまうのです。

中小企業経営者は、仮に赤字決算に陥った場合には、隠すのではなく、すべて債権者である金融機関に開示をし、経営改善への協力を求めることがたった一つの王道なのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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