【中小企業の銀行対策】不動産向け融資が地域金融機関にもたらす弊害とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、不動産向け融資が地域金融機関にもたらす弊害について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 不動産向け融資は金融機関にとって手っ取り早くオイシイ
2 不動産向け融資に偏重する金融機関は要注意である
中小企業経営者の皆様、どうぞご一読下さい。
1 不動産向け融資は金融機関にとって手っ取り早くオイシイ
普段、中小企業経営者が、自社のメインバンクがどの業界への融資が多いのか、あまり気にしたことはないかもしれません。
個別の業界への融資ウェイトについては、金融機関が発行しているディスクロージャー誌の誌面にて公表されていますが、地域金融機関が立地する地域事情によるところが多いという側面があります。
例えば、町工場が集積しているようなエリアでは、製造業向けが多かったりしますが、地方ではいわば「地場産業」と言っても過言ではない建設業向けは相応にウェイトが高かったり、金融機関によっては不動産業向けが多かったりします。
それでは、金融機関にとって、不動産向け融資というのはどのような位置付けなのでしょう。
不動産向け融資の典型例は、いわゆる「開発型」と呼ばれるものです。
少しまとまった土地を商品土地として購入して、造成をして土地を整備して、その土地に住宅を建てて分譲・販売するというケースです。
金融機関にとっては、このような開発型の物件の融資は実はオイシイものと言えます。
商品土地20区画分を原価ベースで1区画当たり20百万円で開発業者が取得すると、それだけで20百万円×20区画で400百万円、融資額はそれだけで4億円です。
さらに造成の費用などを加えると、下手をすると一発の融資で5億円です。
製造業向けに、運転資金や設備資金で20百万円や30百万円の融資を積み上げるより、ずっと手っ取り早く、融資残高を稼ぐことができるのです。
しかも、物件には根抵当権を設定するので保全はフル保全ですし、分譲が完了して販売が終了するまで、融資残高が残り続けることになります。
また、金利も金融機関としてはもらいやすいのが一般的です。
開発業者としても、幾つもの金融機関を比較して最も低い金利を提示してくれることよりも、融資の可否をより早く決めてくることに重き置きがちです。
さらに、大阪、東京だけに限らず、低金利でジャブジャブ余っていた資金が不動産に流入して、地価は上昇傾向です。
地価が上昇傾向になると、金融機関としては担保余力が強くなることが期待されるため、余計、金融機関営業店の外回りの担当者は開発業者の社長に向けて「当行で満額やらしてもらいますから、どんどんやりましょう」と強気な発言が出たりします。
製造業でコツコツと何十銭の単位で商いをしている経営者からすると、理解できないような商いかもしれませんが、これが不動産向け融資の一面なのです

2 不動産向け融資に偏重する金融機関は要注意である
そんな不動産向け融資ですが、残念ながら、完全無欠と言えるものでは決してありません。
まず、不動産向け融資の逆風となるのが、金利が上昇局面に入ってくることです。
金利が上昇すると、支払利息の負担が重くなり、開発を見合わさざるを得なくなる可能性が出てきます。
なんと言っても、バブル崩壊の最大の原因が、金融機関による過度な不動産向け融資であったことから、政策当局も不動産向け融資について注視をしていることは容易に想像できます。
また、地価が下落に転じてしまうと、開発業者は損切り覚悟で土地を売却せざるを得なくなったり、すでに購入済みの顧客への配慮から安易な値下げ販売ができず、不良在庫になってしまう可能性が出てきます。
開発業者にとっての不良在庫は、金融機関にとっては即ち不良債権に直結します。
このように、一見すると、オイシク見える金融機関の不動産向け融資ですが、それは局面によっては諸刃の剣となりうるのです。
不動産開発業者の経営者の皆さん、金利はまだまだ上昇局面にあるため、過度な開発投資には慎重でなければなりません。
不動産開発業以外の中小企業経営者の皆さんは、自社のメインバンクのディスクロージャー誌から不動産向け融資のウェイトがどのくらいかを確認をし、できることなら、不動産向け融資のウェイトが低い金融機関に取引をシフトさせる必要があるかもしれないのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

