【中小企業の銀行対策】預金が増加している金融機関との取引を拡大するべき理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、預金が増加している金融機関との取引を拡大すべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 金利のある世界になって金融機関の収益構造が変化した
2 預金が増加している金融機関の取引を拡大すべきである

中小企業経営者の皆様、どうぞご一読下さい。

1 金利のある世界になって金融機関の収益構造が変化した

2024年の秋以降、ゼロ金利、マイナス金利が終了し、「金利のある世界」がやってきました。
2024年の秋以降、メガバンク、大手行や地方銀行の各金融機関が3度に渡って短期プライムレートが引き上げられ、先週以降、4度目の短プラ引き上げを各金融機関が相次いで発表し、ほとんどの金融機関で8月3日にまたしても短プラが引き上げられることになり、中小企業経営者も、自社の借入金の適用レートが目に見える形で上がってきていることから、「金利のある世界」を実感していることと思います。

中小企業経営者からすれば、短プラ引き上げによって自社の借入金の適用レートが上がって、営業外費用の支払利息が増加していることが目につきがちですが、「金利のある世界」になって、実のところ、金融機関の収益構造が大きく変化したことを見逃してはいけません。

ゼロ金利、マイナス金利の時代では、自前で融資で回せる以上の預金を集めてしまうと、運用利回りの低い公社債で運用せざるを得なくなり、最悪の場合、日銀の当座預金で資金を運用してしまうと、マイナス金利が適用されるため、金利を日銀に支払う必要がありました。
このため、多くの金融機関では預金集めは最小限度にとどめて、投資信託等の預かり資産を預かることで、役務収益(早い話が手数料のこと)を得ることで収益を確保していました。

しかしながら、ゼロ金利、マイナス金利が終了し、「金利のある世界」になってくると、預金を原資に、以前より高いレートで事業性の融資で運用することができますし、日銀当座預金の限度額を超過して預入する分には、日銀からプラスの金利を受け取ることができるようになりました。

このため、「金利のある世界」が到来したことで、金融機関は融資のスタンスを積極的に転換した他、日銀からのプラスの金利を受け取ることで、金融機関の収益力は大きく向上したというわけです。
もちろん、政策金利の引き上げを受けて、預金金利も引き上げられましたが、預金金利の引き上げ幅は、融資の適用金利の引き上げ分に比べればかわいいものに過ぎないので、「金利のある世界」が到来したことで、金融機関は大いに儲けることができるようになったのです。

このように、「金利のある世界」がやってきたことによって、金融機関の収益構造は大きく変化を遂げたのです。

【中小企業の銀行対策】預金が増加している金融機関との取引を拡大するべき理由とは?

2 預金が増加している金融機関の取引を拡大すべきである

一般に、銀行等金融機関は、不特定多数の預金者から預金を集めます。
中には、一人当たり10百万円以上、世帯で名寄せすれば1億円といった大口預金者もいるかもしれませんが、大多数の預金者は、普通の庶民です。
普通の庶民が金融機関の定期預金の金利が上がったので、ゼロ金利、マイナス金利の時代にはタンス預金として眠らせていた現金を金融機関に預けようとした場合、選ばれる金融機関は、地域内で高いシェアを持つ金融機関です。
地域内でしっかりとした店舗網が整備されていて、地元のショッピングセンターには店舗外ATMが設置されているような金融機関が選ばれるのが自然です。
従って、地域内で高いシェアを誇る金融機関が預金残高を増加させていると考えるのが妥当なところです。

実際、個別の金融機関の預金残高の推移を確かめる術としては、ディスクロージャー誌や決算短信などで手っ取り早く確認することができます。
ちょうど6月も末に差し掛かるタイミングなので、2026年3月期実績の決算短信は既に公開されていますし、ディスクロージャー誌も間もなく開示される運びです。
ディスクロージャー誌は、金融機関営業店の店頭の待合スペースに備え付けられていて、誰でも閲覧することが可能ですし、金融機関の公式サイトでも開示されます。

ディスクロージャー誌の誌面は、一般の人にもわかりやすく表示されていて、預金残高や融資残高の推移だけではなく、投資有価証券の運用実績や、融資先の不良債権の詳細を確認することができます。

中小企業経営者であれば、なおのこと、自社の取引金融機関の経営状況をディスクロージャー誌で確認すべきですし、預金残高が増加している金融機関へのシフトによって資金調達が有利になる可能性が高まります。
「金利のある世界」となり、金融機関は、規模の大小ではなく、質で大きな差ができてきつつあります。
万が一にも、自社の取引金融機関が預金残高を減らしているようなことがあれば、取引自体を見直す必要さえ出てくるかもしれません。
中小企業経営者は、自社のメインバンク、サブ行の経営状況を確認するためにも、まもなく開示されるであろう個別金融機関のディスクロージャー誌を確認して、取引金融機関の序列付けを行う必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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