【中小企業の銀行対策】当座貸越の極度額設定が優良先の証である理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、当座貸越の極度額設定が優良先である証である理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 当貸のメリットはいつでも借りられて返済できることである
2 資金繰り余力が低下すると当貸は極度額で張り付いてしまう
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 当貸のメリットはいつでも借りられて返済できることである
中小企業経営者の中で、当座貸越について、「知ってるに決まってるやろ」と言える方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
意外に、「なんや、当貸って?」とよく知らない経営者も中にはいらっしゃるかもしれません。
当座貸越とは、銀行融資の一形態で、通常は短期借入金に仕訳されるものです。
金融機関が極度額という名の限度枠を設定して、その限度枠内であれば、いつでも借りられて、いつでも返すことができるという優れもので、中小企業経営者なら誰でも、「うちの会社もメインバンクに言うて当貸の枠、作ってもらお」となるのですが、当貸の極度枠を設定してくれる融資先はそう多くないと言うのが実際のところです。
単純にいってしまえば、金融機関としては優良先しか当貸の極度額は設定してくれません。
なぜ、金融機関は、優良先しか、当貸の極度枠を設定してくれないのでしょうか。
当貸の一番のメリットであるいつでも借りられること自体、なんら支障はありませんが、問題は、いつでも返せると言うところにミソがあります。
以前のブログでも申し上げましたが、貸金業は、融資を実行するのはたやすいことですが、貸金業の一番難しいことは、いかに債権回収できるかという一点に尽きます。
つまり、資金繰りが厳格に管理できていなかったり。そもそも資金繰りがタイトであれば、当貸の極度枠が設定されれば、借りて借りて借りまくることになって、積極的に返済しようと言うことにならないからです。
このため、ほとんどの中小企業の融資形態は証書貸付(ショウガシ)であって、毎月、元金返済をいくらと決めてしまうことになるのです。
証貸であれば、半ば強制的に債権回収ができるので、少々難のある融資先であっても、金融機関は証貸で融資実行したがるのです。
なので、幸いにも当貸の極度額をメインバンクに設定してもらったら、意識的に返済することを優先する必要があるのです。
当貸の極度枠の理想的な使い方としては、仮に支払いが毎月25日であれば、25日の前営業日に総合振込や給振で必要な資金を当貸で調達をして、月末の入金分を使って、翌月第一営業日に全額(あるいは一部)返済してしまうと言う使い方が推奨されます。
このように、必要な資金を必要な期間だけ調達して、入金分で即返済してしまうことによって、支払利息は日割り計算で最小限度に止めることができます。
金利の上昇局面であればこそ、当貸を日次で実行と返済を繰り返すことが重要なのです。

2 資金繰り余力が低下すると当貸は極度額で張り付いてしまう
他方、資金繰りがタイトで、足らずまいを当貸の実行分で賄っていると、返済がままならず、当貸の残高はなかなか減らないどころか、残高が極度枠にどんどん近づいてしまいます。
いつしか、当貸の残高は極度枠で張り付いてしまって、返済も思うにまかせられなくなってしまいます。
これでは、金融機関からすれば「借りっぱなし」としか見えず、返済もしてもらえないとなれば、下手をすると、正常先からその他要注意先に債務者区分が滑り落ちてしまいかねません。
通常、当貸は、極度枠の更新を2年毎や1年毎に行いますが、極度枠に張り付いてしまうと、当貸の極度枠は廃止されて、期日一括の手形貸付に変更されたり、下手をすると、月々の約定返済付きの証貸にスイッチされてしまいます。
一方、当貸の極度枠を借りては返して、借りては返してと、残高が張り付くことなく、円滑に運用できていて、かつ、売上が増えて経常運転資金がより多く必要となれば、次の更新時に極度枠の増額を取引金融機関担当者から提案されたりします。
このように、当貸の極度枠を維持することは、優良先の証であるのです。
当貸の極度枠を新たに設定してもらったり、維持していくためには、月次の資金繰り表の作成と、取引金融機関への提出が必須です。
中小企業経営者は、改めて資金繰り表の作成の意義の大きさを認識すると共に、取引金融機関から当貸の極度枠を設定してもらうためにも、取引金融機関担当者との打ち合わせを欠かしてはならないのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

