【中小企業の銀行対策】売掛金の回収遅延発生時の理想的な対処法とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、売掛金の回収遅延発生時の理想的な対処法について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 売掛金の回収と滞留状況は取引金融機関にとって大きな関心事である
2 回収遅延の売掛金の回収時には発生分に上乗せして遅延分を分割して回収する

中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。

1 売掛金の回収と滞留状況は取引金融機関にとって大きな関心事である

今日は8月31日。
とにかく大阪では、暑い暑い8月でしたが、いよいよ8月は今日でおしまいで、明日から9月がスタートします。

中小企業に限らず、どこの会社でも、経理部門は月末は多忙となります。
月末の1営業日前までに仕入先や外注先への支払分をメインバンクの総合振込で支払を登録して、月末当日には、ネットバンキングの入出金状況や通帳を見ながら、売掛金の回収分について、売掛金の消し込みを行います。
売掛金の消し込みが全て終われば、当月の試算表の売掛金の貸方の金額が確定して、翌月の売掛金の繰越残高も決まります。

売掛金の回収分の消し込み作業は、経理担当者にとっては、極めて事務的で、無機質なものになります。
ベテランの経理担当者であれば、「あれれ、いつも月末に入金があるお客様のA社からの入金がなかった」と直感的に違和感を感じます。
しかしながら、ベテラン経理担当者ならではなのですが、売掛金回収分の消し込み作業自体が事務的であるため、スルーしてしまいがちです。
とはいえ、本来消し込みできているはずの売掛金が回収遅延となってしまうと言うこと自体、会社にとっては、大きな損害でもありますし、重大事です。
売掛金の回収分が、次の買掛金や未払金、未払費用の大切な支払原資となることは言うまでもありません。
売掛金に回収遅延が発生すること自体、資金繰りの圧迫要因に直結することになるのでうs。

一方、取引金融機関の目線に立ってみましょう。
融資先に対して、取引金融機関にとっては、融資先の売掛金の回収場状況や滞留状況は極めて大きな関心事です。
売上高は計上できていても、売掛金が約束通り回収できていなければ、資金繰りを圧迫します。
細かいことを言えば、売上計上する時点で、消費税が発生します(税抜会計の場合、仮受消費税が計上される)が、売掛金が回収できなければ、消費税分がキャッシュアウトしてしまうことになります。
このように、売上高が計上できているにも関わらず、売掛金の回収遅延が発生すること自体、取引金融機関にとっては大きなネガティブ情報となるのです。
最悪、お客様と揉めてしまって、売掛金の一部が回収できず、不良化してしまうと、相手方が倒産等の状況に陥っていなければ無税で焼却することが難しいため、不良分が売掛金の残高に残り続けてしまいます。
勘定科目明細の売掛金のページに、同じ社名、同じ金額が数期に渡って計上されたままとなると、取引金融機関としては、「さては、売掛金が事実上不良かしているな」とみなされてしまって、実態BSで売掛金の不良化分が査定されてしまい、金融機関の自己査定でもネガティブに作用してしまいます。

このように、売掛金の回収とその滞留状況は、取引金融機関から注視されていることを、中小企業経営者は認識する必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】売掛金の回収遅延発生時の理想的な対処法とは?

2 回収遅延の売掛金の回収時には発生分に上乗せして遅延分を分割して回収する

実際、売掛金の回収遅延が発生した場合、中小企業経営者としては、どのように対処すべきなのでしょうか?
先ほども、申し上げましたが、売掛金の回収遅延によって、取引金融機関からネガティブに評価されることと、何より、資金繰りに悪影響が及んでしまうので、早期に対処しなければなりません。

まず、肝心なことは、売掛金の回収遅延発生を「大したこっちゃない。長い付き合いやから、そのうち、入金してくれるやろう」と楽観的に対処することは極めて危険です。
発生した傷は小さいうちに治療を施す必要があります。
一方、支払が遅延したお客様の会社は、一時的にせよ、資金繰りが厳しくなっていることが容易に想像されます。
とはいえ、資金繰りが厳しくなったとはいえ、優先順位が高いと考えられている支払先には苦しい中でも支払を行っているはずで、優先債権である従業員への給与手当、租税公課(消費税や社会保険料)は優先的に支払っているはずです。
大切なことは、「この先には、なるべくちゃんと払わなあかん」と相手方に思わせることです。

しかしながら、資金繰りが厳しい中、税務署や社会保険事務所のように、頭ごなしに「支払遅れてる分、明日振り込んでもらわな困る」と無理筋を言っても、相手方も態度を硬化させてしまうかもしれません。
ケツを捲るのは簡単ですが、その時は、取引を切ることを覚悟しなければなりません。
また、ほとんどの業種、業界では、同業他社との競合が激しいため、貴重なお客様を一方的に切ってしまって、新輝顧客の開拓でその目減り分を埋められる保証など何もありません。
もしかすると、「少額訴訟や支払督促、訴訟など法的措置に出てしまえば、こちらは勝訴するはず」と考えている中小企業経営者がいるかもしれませんが、相手方が納得しないまま、勝訴したところで、実際の債権回収はそう簡単に実現できるものではありません。

このため、支払遅延先が納得できるような弁済計画を双方が合意をして、それを遵守してもらうことが何より大切です。
この時、支払遅延先への交渉として、譲れないことが「前月発生分を翌月月末に必ずお支払い頂くこと。それに加えて、現在の支払遅延分を分割して分割分を前月発生分に上乗せして支払ってもらうこと」です。
仮に、現在の支払遅延分の金額が大きい場合は、1年分割(12回)とか、場合によっては2年分割(24回)とか長期に及ぶ可能性も出てきますが、実現可能な支払金額で双方が折り合うことが何より大切なことなのです。
契約書では重くなるので、覚え書き程度でも、軽い書面を相手方と交わすことができれば、なお良きです。
現に、支払遅延となっている相手方としても、支払えていないという負い目があるので、相手方が反社会的勢力でない限り、「ご迷惑をかけてすんません。お約束通り、きっちりお支払いさせてもらいます」と対応してもらえるはずです。

止まらない円安によって、原材料高の傾向は歯止めがかかりそうもありません。
あらゆる財・サービスが値上がりする中、今後、支払遅延が発生する可能性はますます高まる一方です。
そのような厳しい外部環境の中、中小企業が売掛金を毎月着実に全額回収していくことはそう簡単なことではありません。

中小企業経営者は、経理担当部署を「収益の産まないバックオフィス」と見做すのではなく、売掛金の回収状況をはじめとして、日々の経理担当者からの報告を徹底させ、経理担当者からの情報をフル活用する必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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