【中小企業の銀行対策】資産圧縮がもたらす資金効率向上効果とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、資産圧縮がもたらす資金効率向上効果について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 固定資産は必要最小限の保有にとどめる
2 仮勘定は普段から早期に解消することを徹底する
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 固定資産は必要最小限の保有にとどめる
「総資産を圧縮しましょう、社長」と北出は折に触れて、お客様の中小企業経営者に申し上げるのですが、どうも、ピンと来ない経営者も少なくないようです。
というより、そもそも、創業者経営者は、ゼロから会社を立ち上げて、一度や二度は、会社の危機を迎え、その都度、危機を乗り越えてきて今があるわけなので、基本的に、拡張思考の強い経営者が多いように、見受けられます。
そのため、経営者によっては、会社の規模が大きくなってきたことを追い風にして、自社ビルをドドーンと建ててしまったりするわけです。
いざ、ドドーンと自社ビルを建ててみると、外見を見た世間の人たちから、「あの会社、儲かってるんやろな」という羨望の目に晒されることになりますし、社長仲間からは、「お前、よう決断したな。立派な社屋やないか」とポジティブな評価で称賛されることになります。
もしかしたら、綺麗な社屋で働ける従業員のモチベーションを上げる効果もあるのかもしれません。
確かに、その気持ちはわからなくはないのですが、土地建物の取得資金は、取引金融機関からの設備資金で、もしかすると期間10年、15年といった超長期の返済を負うことになります。
建物は減価償却で返済原資が捻出できるとしても、土地は償却のしようがないため、土地の取得資金はずっと寝たままになってしまいます。
土地の取得資金はずっと寝たままになるので、資金効率としては芳しいとはお世辞にも言えません。
いわば収益を産まない固定資産が試算表のBSの資産の部の大きな部分を占めることになります。
同じ多額の設備投資を行うのであれば、製造業であれば、生産効率をググッと高めることができる工作機械のような生産設備の方が、ずっと収益を産み続けることになりますし、もしかしたら、省力化につながるかもしれません。
弊所が事務所を置く大阪府八尾市と隣接する東大阪市は町工場の集積地ですが、社屋はボロくても、工場の中に一歩足を踏み入れると最新の工作機械がドドドドンと並んでいるのをみると、「この社長、なかなかやるなあ」と感心してしまったりします。
確かに、世間に対して、「うちの会社はここに鎮座しています」と宣言できる立派な社屋は経営者にとっては魅力的に映るのかもしれませんが、大企業ではあるまいし、ヒト、モノ、カネプラス情報、いずれも限定的な中小企業では、固定資産は最小限の保有にとどめることが理想的で、資金効率向上にもつながります。
そもそも、キャッシュフロー計算書の通り、資産の増加は現預金を減らす作用が働きます。
どこかの経営者じゃありませんが、「持たざる経営」は確かに、資金効率への配慮からすると、一定の合理性があることは間違いありません。
総資産を圧縮すればするほど、資金効率は向上するのです。
見た目も大事ですが、中小企業は中身で勝負すべきなのです。

2 仮勘定は普段から早期に解消することを徹底する
総資産の圧縮によって、資金効率が上がることを固定資産の観点からお話をしました。
ただ、総資産の圧縮は固定資産だけではなく、流動資産でも同じようなことが言えるのです。
考えてみましょう。
例えば、細かいお話ですが、営業担当者の旅費や諸経費について、個人で負担するようなことがないよう、前渡しでいくらかを支払うことは多くの中小企業で行われているはずです。
前渡しで支払う諸経費分は、一旦、仮払金で資産計上して、現金を払い出します。
他方、少なからず見受けられるのが、前渡しで支払われた経費の精算が先延ばしになっていて、仮払金が計上されたままになっていることです。
営業担当者は、「忙しいから」と経費精算を後回しにしがちですが、このような仮払金は費用性のある資産なので、早期に経費精算をして、仮払金から、旅費交通費や雑費等に振替伝票を起こす必要があります。
さすがに、決算時には綺麗に精算されるはずですが、経費精算が後回しになあると、月次の試算表に費用性のある仮払金が計上されたままとなります。
仮払金や立替金といった費用性のある資産は、金融機関の自己査定ではマイナスで査定されるため、費用性のある資産が計上されていると、取引金融機関にすれば、「この会社、大丈夫なんか?」と心配になることもなきにしもあらずです。
あるいは、売掛金も未収となったまま、回収の督促を行わなければ事実上死んだ売掛金が混じっていることになるため、金融機関からすれば極めてネガティブです。
総資産を圧縮するというのは、経営者だけが決断して、実行できるものではありません。
売掛金を早期に回収することや、仮勘定を極力削減することは、総資産の圧縮と資金効率向上につながりますが、それもこれも、全社を挙げて、従業員一人一人が意識を変え、業務への取り組みスタンスを今までとは違うものに変遷させる必要があるのです。
中小企業経営者は、総資産を圧縮することを全社に浸透させ、従業員一人一人の意識を変えさせることによって、資金効率向上を実現させていくための努力を怠ってはならないのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。


