【中小企業の銀行対策】銀行対策と税務上の配慮が二律相反する理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、銀行対策と税務上の配慮が二律相反する理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 法人税は中小企業経営者にとって重税感が否めない
2 法人税を払って残余の利益を内部留保として蓄積するのが王道である

中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。

1 法人税は中小企業経営者にとって重税感が否めない

中小企業の中でも、格別の事情がなくても、決算月を3月決算としている中小企業は少なくありません。
3月決算の中小企業であれば、土日の関係から、税務申告期限が今月1日で、税務申告期限は即ち、消費税確定分と法人税の納付期限でもありました。
3月決算の中小企業経営者は、申告期限から1か月弱が経過し、取引金融機関各行への決算書提出も完了したこともあり、今は少し「凪」なタイミングなのかもしれません。

2026年3月期の決算が例年並みの業況を維持し、利益もしっかりと残せた中小企業経営者からすれば、毎度のことながら、「法人税ってホンマに高いな」というのが本音のところではないでしょうか。
消費税については、お得意先からお預かりした仮受消費税相当分から期中支払った仮払消費税相当分を支払った分との差額分を確定分として納めることから、合理性もあって、中小企業経営者の多くが納得感をもって納税することかと思われます。

一方、法人税は、中小企業の場合、ザクっと言ってしまえば、経常利益の30%程度の課税となります。
特に、経営改善を全力で進めてきて、過去からの累積赤字を解消、税法上の繰越損失を使い切った中小企業経営者にとっては、「え? 法人税てそんな高いの!?」と驚きを禁じ得ないものとなります。
毎期安定して利益を計上し、B S上でも安定した内部留保を蓄積し続けている中小企業経営者にすれば、消費税にせよ、法人税にせよ、「慣れたもんよ」と言った具合なのですが、正味のところ、多くの中小企業経営者からすれば、法人税への重税感は否めないものがあるのです。

このため、弊所では、特に経営改善によって、BSの体質改善が進んでいて、債務超過解消が見えてきているお客様の中小企業に対しては、消費税と法人税納付用の積立を毎月メインバンクに積むように極力お願いしています。
積立定期は、あくまで納税用なので、金融機関から間違っても拘束されるわけではありませんし、非拘束であっても取引金融機関は積立定期の一部を保全で見ることができるので、銀行対策としても極めて有効です。
いざ、法人税を納付といったところで、現預金が足りなくなるようでは非常に困ったことになりますし、そこで法人税を分納になってしまうと、経営改善へ協調体制を維持し続けてくれたメインバンク他、取引金融機関に示しがつきません。

なんといっても、納税義務は日本国憲法に記載されている国民に課された義務なので、公明正大に商いを行いたいと考えている中小企業経営者は、着実に納税の義務を果たす必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】銀行対策と税務上の配慮が二律相反する理由とは? 

2 法人税を払って残余の利益を内部留保として蓄積するのが王道である

中小企業経営者と言っても、人の子である以上、「極力税金は払わずに済ませたい」と考えることは不思議なことでは決してありません。
このため、一部の中小企業経営者は、節税をして(脱税ではない)、利益を抑制してキャッシュを会社に少しでも残したいと考えてしまいます。
このような対税上の配慮は、珍しいものではありません。

一方、取引金融機関からすれば、「節税」に対して、決してポジティブには捉えてくれるわけではありません。
無借金経営の会社であれば、どんどん節税して貰えば良いのですが、取引金融機関、なかでも、メインバンクとしては、利益をジャンジャン出してもらって、FCF(フリーキャッシュフロー)を増加させて、返済原資をしっかりと確保することを融資先に求めます。
もっと言えば、出せる利益は出して、法人税をしっかりと納税して、残余の利益をBSの右下の内部留保に蓄積してほしいというのが金融機関の目線です。

重要なことは、債務者区分を引き上げ、信用格付を更に上振れさせるという銀行対策と、支障のない範囲で節税をしたいという対税上の配慮とは、全く相反するもので、二律相反となるということです。

残念ながら、銀行対策と節税対策を両立させることは極めて困難です。
とはいえ、メインバンクへの積立定期は、繰り返しになりますが、銀行対策としては、相当程度有効なので、期初である今のタイミングから、積立定期の預入を開始して、来年の納税に今から備えておくことは有効です。

中小企業経営者が、自社が経営改善を進め銀行対策を優先すべきなのか、安定した内部留保を確保済みで一定の対税上の配慮を行なっても取引金融機関の支援姿勢維持に支障はないのか、この二律相反する要素から自社のフェイズを見極める必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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