【中小企業の銀行対策】年度末に向けた取引金融機関との付き合い方の心得とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、年度末に向けた取引金融機関との付き合い方の心得について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 金融機関側からの露骨な「お願い」は過去のもの
2 金融機関担当者の顔に泥を塗ってはならない

どうぞ、ご一読下さい。

1 金融機関側からの露骨な「お願い」は過去のもの

令和5年度も残り2ヶ月を切りました。
大手企業も役所も3月が年度末となるため、3月決算ではない中小企業でも、「3月近し」ともなれば、なんとなく慌ただしさを増す気がするのは不思議なものです。

中小企業にとって切っても切れない存在が金融機関ですが、金融機関もご多分に漏れず3月決算です。
外回りの渉外係や得意先課の担当者は、それぞれに「目標」という名のノルマを負っているので、目標必達に向けて目標項目別にターゲットを選定して、お願いや提案に必死です。

とはいえ、昔と違って、コンプライアンスの縛りが厳しい金融機関ですから、露骨な金融機関側からの「お願い営業」は影を潜めたように見えます。
昔は、当座貸越(トーガシ)の極度額を設定した融資先には、年度末近くに極度額目一杯まで当貸を実行して、年度が明ければ、すぐに返済というパターンが定例でしたが、金融庁等の行政指導によって、当貸を実行して返済するまで支払に使用されず、そのまま当座預金におカネが寝てしまっているような事例に規制がかけられるようになったので、当貸のお願い営業も過去の遺物です。

特に、金融機関と融資先との関係特性から、金融機関が優越的になってしまいがちなので、金融機関の「お願い営業」は厳に慎まれるようになりました。
金融機関と中小企業との関係がフラットに近くなることは、とても好ましいことだと北出は考えています。

2 金融機関担当者の顔に泥を塗ってはならない

そうは言っても、金融機関の外回りの担当者のノルマが緩くなったのかと言えば、必ずしもそうとも言えません。

最近では、事業資金と共に、個人向け(リテール業務)の運用商品の販売に各金融機関が力を入れています。
中でも、今年からリニューアルしたNISAは、どこの金融機関も最も重点的に取り組んでいます。

従って、渉外係や得意先課の担当者は、融資先の社長個人に「今話題のNISAですが、いかがでしょう。運用益が出ても非課税ですからお得です」などと一斉にお声がけをしています。
お客様の中小企業経営者から「担当者からNISA、お願いされてるんやけど、どうしたモンやろうか?」と尋ねられるのですが、北出は「社長、まずは少額で良いので、ぜひ、お付き合いしておいて下さい」と申し上げるようにしています。
もちろん、投資信託には、相場によって元本割れになるリスクはありますし、入り用があって解約する場合には数日の日数を要するため、定期預金のようなわけにはいきません。
しかしながら、例え少額であっても、いざ、個人でおカネを出すとなると、株式相場や外為、金利といった日々変化する金融情勢に関心が自然と向くようになります。
運用成績は、毎日夕刻以降、ネット上で公表される金融商品が多いため、スマホでURLをブックマークしておけば、「今日は良い相場やった」であったり、「あかん、今日はさっぱりだめや」と毎日一喜一憂することになります。
その上で、少しでも運用益が出れば、万々歳です。
なので、投資信託初心者の方には、日経平均株価指数やTOPIXに連動するようなインデックス系の金融商品から始めることをお勧めしています。

それでも、「いや、俺は銀行には付き合いしない」という経営者がいるかもしれません。
他方で、金融機関の担当者とすれば、自身の担当先の中から、ここぞとばかりお願いしてきているので、「いや、今回は勘弁してくれ」とネガティブな反応を社長が見せてしまうと、金融機関担当者は営業店に戻って役席に報告する時、辛い思いをすることになり、結果として、担当者の顔に泥を塗ることになってしまいます。

それでは、いざ、中小企業経営者の方から、「今回、運転資金をなんとかお願いします」と言っても、担当者の本音としては、(なんや、こいつ。自分の都合だけでお願いしてきよって)となってしまうと、経営者も担当者も後味の悪いことになってしまいます。

中小企業経営者の皆さん、年度末に向けて、金融機関担当者から「お願い営業」を受けた際には、担当者の顔を泥を塗ることなく、負担にならない範囲で最低限のお付き合いをしておく必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご覧下さい

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ

【中小企業の銀行対策】銀行取引に必須の資金繰り表の役割とは?もご一読下さい

【中小企業の銀行対策】銀行取引に必須の資金繰り表の役割とは?
【中小企業の銀行対策】銀行取引に必須の資金繰り表の役割とは?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA