【中小企業経営者の心得】非同族の「番頭格」を全面的に信頼してはいけない理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、非同族の「番頭格」を全面的に信頼してはいけない理由について考えます。

1 長年同じポストに居続けるリスク
2 常に「監視されている」感を醸し出す

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 長年同じポストに居続けるリスク

業歴が長い中小企業で、かつオーナー企業で、意外と目立つのが、「番頭格」の存在です。
「番頭格」といえば、経営者、社長かつオーナーから半歩後ろを歩いて、忠実に勤め上げるイメージです。
確かに、創業当初から経営者、社長かつオーナーを支え続けてきた「番頭格」は、経営者からすれば頼もしい存在であることは間違いありません。
「番頭格」は、実務にも長けて、業界事情にも精通していることから、経営者、社長かつオーナーからだけではなく、社員の誰からも一目置かれる存在です。
社内だけではなく、社外からも、「あの会社は、番頭さんでもってる会社やよな」という業界評が立ったりします。

総務経理を取り仕切る番頭さんも居て、経営者の信頼が厚く、下手をすると、銀行印や会社の実印まで経営者が番頭さんに預けてしまっているケースもなきにしもあらずです。
資金調達も総務経理の番頭さんが裁量を持っていて、オーナー社長は、融資の稟議が下りて実行直前の連帯保証人欄にサインするだけ、なんてことも実際に見受けられます。

オーナー社長が知らないうちに、借入がどんどん増えてしまって、「おい、どうやって返済していくんや」となきを見るのが連帯保証人である社長個人です。
あまり、性悪説ばかりでは、殺伐としてしまいますが、会社は会社のことですし、なんと言っても仕事です。

他方で、人間は権限を持たせてもらうと、その権限を使いたくなってしまうのが人情です。
ついつい、会社を私物化してしまうこともなきにしもあらずです。

番頭さんだけではなく、社歴15年の経理のお局さんみたいな人も、会社の事情に精通しています。
内心、「なんで、あんな人がこんなに給料もらってるんやろ」と不満を募らせない保証は何もありません。
総合建設業の現場監督が、外注業者の社長とつるんで、会社に外注費を水増しして請求させて、キックバックを受けるなんてこともなきにしもあらずです。
「ゲンナマ」でなくとも、飲み食いの接待を受けているケースも見受けられます。
会社に外注費を水増しして請求されていては、他の人がいくら頑張っても、目標の工事粗利益を確保することが難しくなります。
真面目な従業員が泣きをみるようなことは絶対に避けなければなりません。

このように、ポストにかかわらず、長年、同じ人間が同じポストに居座り続けることは会社にとって大きなリスクです。
確かに、業務に精通した人がその業務を続けていると、ミスもないのかもしれませんが、癒着も出てこないとも限りません。

このようなリスクを回避するためにも、中小企業であっても、定期的な人事異動「ローテーション」を実施する必要がありそうです。

2 常に「監視されている」感を醸し出す

非常に残念なことですが、会社の規模の大小にかかわらず、会社内での不正行為というのは、なかなかなくなりません。
誰かが不正をしていい思いをしていて、真面目な人間が割りを食うような会社に未来はありません。

不正防止には、従業員への常日頃からの教育が必要になるかもしれませんが、「常に監視されている」感を出すことは一定の効果が見込めます。
社内で盗難事件が発生したところ、ダミーの監視カメラを設置しただけで、以降、盗難事件が発生しなくなったこともあります。

社内の誰もが一目を置いて、意見することも憚られるような番頭格であれば、やろうと思えば、不正を起こすことは可能です。
ましてや、集金まで責任を負う営業担当者や経理部門など、おカネが動くようなポストに関しては、余計に不正の防止策が必要です。

中小企業経営者は、番頭格に一定の敬意を評しつつも、必要以上の信頼を置くことなく、常に「監視されている」感を出し続ける必要があるのです。

 

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