【中小企業の銀行対策】メインバンクの有価証券保有状況に注意を払うべき理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンクの有価証券保有状況に注意を払うべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 債券安の影響が預貸率の低い金融機関を直撃する
2 メインバンクの2025年9月中間のディスクロージャー誌を注視する

どうぞ、ご一読下さい。

1 債券安の影響が預貸率の低い金融機関を直撃する

世の中はすっかり選挙モードで、株高が大きく報道されています。

一方、外国為替市場における円安と債券相場での利回り上昇(債券価格は下落)のペースが上がっています。

金融機関からの間接金融による資金調達に依存する中小企業にとっては、実は債券安こそが無視できない深刻な問題なのです。

メガバンク等大手金融機関は、預金と貸出金が拮抗していたり、貸出金が預金よりも上回っている状況が常態化していて、貸出金が預金よりも上回る状況を「オーバーローン」と言います。

一方、地銀や信金・信組で、規模も小さく、貸出金よりも預金が大幅に超過しているような地域金融機関の中には、預貸率(=貸出金残高÷預金残高×100%)が50%程度の金融機関が存在します。

つまり、一般の不特定多数の預金者から5,000億円預金を集めていても、一般企業や個人の融資先に融資できている貸出金が2,500億円というケースがそれに当たります。

5,000億円預金を集めても、2,500億円しか融資できていない金融機関は、残りの2,500億円を金庫の中に現金で保管していては利益を産まないので、日本国債(JGB)や自治体が発行する地方債を購入して資金運用を行います。
日本国債や地方債は、満期が到来すれば額面で償還されるため、基本的に安全資産とされます。
地域金融機関としても、不特定多数の預金者にいつ何時でも預金の払い戻しに応じられるよう、株式等リスク資産での運用は厳に謹んでいます。
しかしながら、今般のように、市場金利が上昇して、債債券が売られ、債券価格が下落してしまうと、地域金融機関が購入した取得原価よりも時価が下回る事態が発生します。
地域金融機関の中には、保有している債券の時価が取得原価を下回ってしまって、含み損が出てきていて、その含み損が業務純益(一般の事業会社の「当期純利益」に相当します)の10年分程度にまで拡大しているケースが見受けられます。

この含み損については、直ちに売却損が発生するわけではありませんが、含み損を抱えている債券に満期が到来する度、順次含み損が売却損として損失が確定していきます。
地域金融機関が抱える債券の含み損の問題は今のところ大きく報道されていませんが、いわば、時限爆弾を抱えたまま時間が過ぎていくようなものなので、将来的に、地域金融機関の持続性を圧迫しかねない深刻な事態が進行しているのです。

【中小企業の銀行対策】メインバンクの有価証券保有状況に注意を払うべき理由とは?

2 メインバンクの2025年9月中間のディスクロージャー誌を注視する

地域金融機関から融資を受けている中小企業経営者の中には、「うちの会社には、メインさんの債券運用のことは関係あらへんな」とふと思うかもしれませんが、実は対岸の火事にすることはできません。
債券が内包する含み損については、地域金融機関は時価評価することを強制されていないため、直ちに、地域金融機関の損益を傷めることにはなりません。
しかしながら、上記でも書きました通り、債券の満期が到来するタイミングで、損失が確定していくことになります。
もちろん、近い将来、債券相場が高騰して、地域金融機関が保有する債券の含み損が解消できればそれに越したことはありませんが、選挙後、現政権が継続されるなら「積極財政」を嫌った債券市場では、更に債券価格の下落が進む可能性がなきにしもあらずです。

含み損が解消できず、含み損が近い将来、売却損として損失が確定していくと、地域金融機関の損益(PL)だけではなく貸借(BS)も傷んでいくことになります。
地域金融機関は自己資本比率を維持するために、総資産を圧縮するように動くと、かつてのバブル崩壊時の貸し渋りや貸し剥がしのような悲惨な事態が起こらない保証はないのです。

地域金融機関から融資を受けている中小企業経営者は、自社のメインバンクの有価証券保有状況を確認することから始める必要があります。
メインバンクの有価証券保有状況を確認するための最も簡単な方法は、2025年9月中間期のディスクロージャー誌を閲覧することです。
ディスクロージャー誌は、金融機関店頭の待合スペースで閲覧できる他、金融機関の公式ホームページで確認することができます。
20225年9月中間期のディスクロージャー誌では、保有する有価証券の取得原価、9月末時点の時価、含み損(もしくは含み益)の金額を把握することができ、含み損が大きければ大きいほど、金融機関としての健全性に問題ありということになります。
また、債券安は、昨年10月以降、更に進行しているため、含み損は更に拡大していることが懸念されます。

金融機関からの資金調達に依存する中小企業にとって、メインバンクの健全性の有無は重要な要素です。
健全性に疑義のある金融機関をメインバンクとしているならば、徐々に他行へのシフトを検討する必要が出てくるかもしれないのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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