【中小企業経営者の心得】支払遅延が発生する場合の適切な対処法とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、支払遅延が発生する場合の適切な対処法について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 入出金のギャップによって瞬間的な資金ショートは発生する
2 銀行融資はいつでも出してもらえる保証はどこにもない

どうぞ、ご一読下さい。

1 入出金のギャップによって瞬間的な資金ショートは発生する

年度末が近づいてくると、年末同様、動くおカネが大きくなりがちです。
製造業の場合で、リードタイムが長いケースでは、原材料の仕入が先行すると、買掛金の支払が前倒しで請求が来たり、建設業で委託先(外注先)への総支払額は同じであっても、委託先からの請求が前倒しになると、想定外の資金ショートが発生しないとも限りません。

発生ベースの試算表のPL上では利益が出ているのに、入出金のギャップの発生によって瞬間的な資金ショートが十分起こり得るのです。
下手をすると、俗に言う「黒字倒産」というべきもので、発生ベースの損益では利益が出ているにもかかわらず、瞬間的な資金ショートで会社がいわば「突然死」してしまうことは不思議でも何もないのです。

また、完全な資金ショートではないにせよ、商取引債務の支払を優先することによって、消費税や社会保険料等の租税公課を滞納するようなことがあっては絶対になりません。
税務署の消費税は国税徴収法、社会保険料は国税徴収法に準ずる形で、優先債権であるため、租税公課の滞納は何があっても、御法度なのです。

【中小企業経営者の心得】支払遅延が発生する場合の適切な対処法とは?

2 銀行融資はいつでも出してもらえる保証はどこにもない

経理担当者から、「社長、この月末、資金が足りません」と報告を受けた中小企業経営者は、普通、あわてます。
「なんでや! そんなわけないやろ」と経理担当者をどやしつけても何も建設的なことは起こりません。
足らずまいをどうにかする必要が出た場合、経営者は「メインバンクに掛け合うことにしよ」となりますが、これもそう簡単なことではありません。
当座貸越(当貸)や手形貸付(手貸)の極度枠が設定されていれば、その極度の範囲内で容易に資金調達できますが、極度枠の設定がなければ「一から稟議手続き」となります。

メガバンクの支店長、支社長、法人営業部長は、部店長の億単位の決裁権限が付与されていますが、地銀、信金・信組の営業店(支店等)の部店長(支店長等)の決裁権限はそう大きなものではありません。
部店長の決裁権限は単に融資の金額だけではなく、債務者区分、信用格付によって複雑に設定されています。
地銀、信金・信組の場合は、本部の与信所管部署(審査部や融資部等)の決裁を仰がなければならないことを理解しておかなければなりません。
営業店の部店長が方向性をバシッと出してから、営業店の担当者が稟議書を起票し、外回り(渉外係)、融資係(融資課等)、次席(副支店長、次長等)から部店長(支店長等)の意見が付されてから初めて、本部の与信所管部署の稟議書が回付され、審査役、調査役、審査部長(融資部長等)が決裁するような稟議のフローとなるため、「この月末に資金を融通してくれるとありがたい」と営業店担当者にお願いしても、「もう少しお時間を頂きませんと・・・」と担当者は困り顔になってしまいます。
月末の決裁資金が必要になった時には、最低でも2週間、理想的には1ヶ月程度の時間的余裕が必要なのです。
平たく言えば、銀行融資はいつでもサッと出してもらえるものではないのです。

こうなると、仕入先や外注先に支払の繰延をお願いすると言うのが現実味を増します。
支払の繰延をお願いする際に重要なことは、
1 なるべく早く支払が遅れることを相手方に伝える
2 支払の繰延のお願いは真摯な態度で行う
3 繰延となる支払がいつになるのかを明確にする
の3点です。

一番最悪なケースは、黙って、支払遅延を放置して、支払先から「先月末、お支払頂けなかったようですが、確認をお願いします」と言う類の問い合わせが来る場合です。
これは一発アウトで、先方の怒りを買うだけではなく、これまで築いてきた信用を一撃で壊してしまいます。
確かに、経営者の立場として、「すんませんが、今月末、ちょっと厳しくて、支払いをちょっと待ってもらえませんか」とお願いするのは酷なお話であることは十分わかります。
しかしながら、都合の悪いことは先に言ってしまうのが商談の基本中の基本です。
最後に大切なことが、「いつお支払できるか」と言うことです。
先方とて、中小企業経営者同士で、資金が潤沢に回しているわけではないことは十分理解してもらえますが、「待つのは良いとして、いつはろてもらえますの?」というのはとても重要なことです。

「いつお支払できるか」を明確にするために、日次の資金繰り表を作成することが最も効果的です。
日次資金繰り表は「日繰り」とも呼びますが、翌月以降の入金を見込んで入金予定を明確にする一方、支払はほぼ確定しているので、日次資金繰り表の作成はそう難しいものではないのです。

円安による原材料高が今後も続くことが予想される中、売上原価だけではなく、諸経費も上がっていくことが予想されます。
中小企業経営者は、これまで以上に精緻な資金繰り表を作成して、先手先手の資金繰りを徹底していく必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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