【中小建設業の銀行対策】元請建設業の責任がより一層重くなっている理由とは?
今日は、中小建設業の銀行対策として、元請建設業の責任がより一層重くなっている理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 下請さんから委託先さんへ意識を変える
2 工事見合いの引当融資を着実に調達する
どうぞ、ご一読下さい。
1 下請さんから委託先さんへ意識を変える
年度内完工、検査完了の公共工事が佳境に入ってきています。
公共工事の元請建設業者も、元請さんから仕事を頂いている下請業者も繁忙期の真っ只中です。
公共工事繁忙期の真っ只中にあって、この1月1日から旧下請法が改正され、「取適法」に衣替えとなりました。
従来から呼ばれてきた「下請業者」は、「委託先」と呼称されるようになり、元請業者は委託先に対して、支払手形での支払(紙ベースの手形はほぼなくなっていますが、電子債権による実質的な手形は運用されています)ができなくなり、支払サイトも委託先の仕事が完了してから60日以内のできる限り速やかなタイミングで支払うことなどが、主な変更点となっています。
このため、精算時に実行予算からはみ出した分について、ある意味、「悪しき業界環境」とも言えるような「下請さん、悪いけど、この現場は一律こんだけカットで勘弁して欲しいねん。次の現場で必ず返すから堪忍な」という具合の支払は許されなくなるというわけです。
元請業者と比較すると、相対的に取引上の力関係が弱い下請さん改め、委託先の保護を目的としているのが下請法改め、取適法と言えるのです。
このため、元請業者の経営陣も、現場監督も、これまでの「下請さん」への意識を抜本的に変える必要があるのです。

2 工事見合いの引当融資を着実に調達する
公共工事の元請業者は、同業他社との競合に競り勝って入札で工事を落札できたからこそ、工事を進めていくわけですが、一般的に委託先よりも取引の力関係上強い元請業者ではありますが、大きな物件の施工していくためには、多額の資金が必要です。
材料費、外注費、現場の労務費、現場経費の支払は、工事の進捗に従って、ドンドン先行していきます。
委託先も、工事の進捗に従っておカネをもらわないと、現場の作業員への労務費の支払ができず、委託先が干上がってしまいます。
取適法の運用もあって、建設現場でのコンプライアンスはより一層厳しく運用されるようになっています。
ましてや、労災事故のような不慮の事故が起こってしまったら、取り返しがつかなくなります。
委託先への支払を進捗見合いで着実に支払うためにも、元請建設業者が、取引金融機関から工事見合いの引当融資をしっかりと調達しなければなりません。
工事見合いの引当融資は、返済原資が完工、検査完了後に役所から振り込まれてくる最終の工事代金ですが、通常、保全面は、信用扱い(ほぼ保全がない状態)となることが多いため、財務体質が脆弱(BSの内部留保が乏kったり債務超過だったりする)な場合には、取引金融機関は信用扱いでの引き手融資に慎重になってしまいます。
もちろん、返済原資は、工事代金で公共工事であるため、貸し倒れるリスクは極めて小さいのですが、取引金融機関としては、健全な財務体質が引当融資の条件にならざるを得ないのです。
そもそも論として、金融機関側も引当融資の事務負担は比較的重いのです。
引当融資が実行された後は、工事代金の入金口座を常に監視をして、引当融資の返済対象の入金であるかを確認しなければなりません。
引当融資の返済対象の入金があれば、速やかに、融資先に連絡をとり、出金伝票を徴求して、返済に充当する必要があるというわけです。
銀行員としては、繋ぎの引当融資よりも「社長、長期安定の資金の方が安心ですよ」とわけのわからない理由づけをして、管理の不要な長期の証貸を勧めたいと言うのが本音なのです。
しかしながら、本来、短期の繋ぎ資金である引当融資ではなく、長期で工事の立替資金を調達してしまうと、慢性的な借入過多に陥ってしまう可能性が極めて高まるのです。
中小建設業の経営者は、元請業者としての社会的責任を改めて再認識して、公共工事元請工事の立替資金にかかる引当融資を着実に取引金融機関から調達するためにも、受注明細と資金繰り表を常にブラッシュアップして、取引金融機関との対話を怠ってはならないのです。
【中小建設業経営者の皆様へ】メインバンクとの信頼関係強化による受注機会拡大の実現へもご一読下さい。

