【中小企業の銀行対策】「担保があるから借りられる」が幻想である理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、「担保があるから借りられる」が幻想である理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 不動産はあるに越したことはない
2 融資の可否は担保の有無だけでは決まらない

どうぞ、ご一読下さい。


1 不動産はあるに越したことはない

弊所では、中小企業の銀行対策を業務としていますが、一口に銀行対策と言っても、一社一社、銀行対策は違っていて、仮に、業種や業態が同じであっても、コピペで済むようなケースはまずありません。
一社一社、まさに、手作りそのもので、銀行対策は、やればやるほど、ノウハウを蓄積することができる仕事です。

一社一社違っている要素の一つが、不動産の存在です。
大阪市内のように、インバウンドの効果と周辺地価の上昇によって、不動産そのものが物凄いパワーを持っていることもあれば、地方で地価の下落傾向が続いているようなところでは、不動産を持っていても、十分な担保価値が見込めなあいケースもあります。
まさに、「一概には言えない」というのが会社もしくはオーナー経営者所有の不動産は千差万別ということができます。

社有、オーナー一族所有を含めて、銀行取引で融資を受ける際に、不動産はあるに越したことは間違いありません。

しかしながら、一部の経営者が誤解しているのですが、「当社はこれだけ不動産があるのだから、ちゃんと融資をしない銀行はけしからん」とおっしゃる経営者がなきにしもあらずです。
代々商いを続けてきて、不動産を蓄積してきた会社の場合、経営者は、その不動産の存在を重視するのは当然のことではあります。
ところが、「不動産があるから借りられる」は残念ながら幻想と言えるのです。

なぜなのでしょうか?
次の章で考えてみます。

【中小企業の銀行対策】「担保があるから借りられる」が幻想である理由とは?

2 融資の可否は担保の有無だけでは決まらない

一般に、金融機関の与信(融資取引を行うこと)判断は、バクッと3つの要素で決まります。
一つ目が、「資金使徒」です。
資金使徒とは、「何のために、いくら必要なのか?」です。
例えば、売上が増加して売掛金の増加に対応するために増加運転資金なのか、運送業者で、10トン車を22百万円で購入するための設備資金、だとか、早い話がお金の使い道です。
二つ目が、「返済原資の有無」でこれが最も金融機関が重要視する要素です。
金融機関は貸したからにはきっちり回収しないといけないことを大前提としています。
返済方法について、短期資金で期日一括なのか、長期資金で7年84回の約定返済なのか、金融機関からすれば、ちゃんと回収できるという見込みがない限り、融資を実行することはできません。
回収見込みのない融資を実行するのは金融機関としては「背任」に当たりますので、返済原資の確保というのは極めて重要な要素なのです。

3つ目が、保全です。
保全とは、万が一、回収不能になった時、どのように回収するのかということを言います。
実態BSの健全性から見て、プロパーでいくのか、信用保証協会の保証をつけるのか、はたまた、不動産担保を徴求するのかなどの選択肢から保全を決めていくことになります。
金融機関は、資金使徒が妥当で、返済原資が確保されていて、初めて、3つ目の「保全はどうする?」というステップを踏むことになります。
逆に言えば、資金使徒と返済原資の妥当性が見込めなければ、「保全はどうする?」というステップには進めないのです。

したがって、「当社には不動産があるから融資をしてくれ」と金融機関にお願いをしても、資金使徒確保と返済原資の妥当性が確保できなければ、いくら不動産があっても、金融機関は融資を実行することはできないのです。

中小企業経営者は、タイムリーに資金調達を可能にするために、実態ベースでのBSの健全性と単年度でのPL上の利益確保を経営方針として掲げて、安全性が高く、かつ、儲かる会社にしていくことが必要なのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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