【中小企業の銀行対策】取引金融機関の営業店統合加速に対応すべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関の営業店統合加速に対応すべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関の人材不足感は否めない
2 取引店舗が遠くなれば積極的にアプローチすべきである
どうぞ、ご一読ください。
1 金融機関の人材不足感は否めない
金融機関の営業店(支店等)の統廃合が加速しています。
ネットバンキングの普及によって、大多数の中小企業では、日々の入出金に際しては、金融機関の営業店に出向く必要性が薄まっています。
金融機関としては、規模の大きな金融機関ほど、市中金利の利上げによって収益環境は良化していますが、営業店の統廃合は日々加速している感触です。
感覚的には3店舗を1箇所に集約している感がありますが、支店をなくしてしまうと、店舗名と口座番号が変更されてしまうので、総合振込や給与振込で大混乱が起こりかねません。
このため、「店舗内店舗」という方式が取られていて、A支店、B支店とC支店の3店舗が一箇所に同居していて、店舗の行員が3つの支店の事務を取り扱うようにしています。
3店舗が一箇所に同居するといっても、間仕切りの壁があるわけではなく、人員面では相当な削減効果が出ていることは想像に難くはありません。
他方、ネガティブなリストラというよりは、バブル期中盤から後半に採用されたバブル組が相次いで55歳を迎えて、役職定年を迎え、営業店から離れてしまうため、人手不足感が拭えないことに加えて、北出が危惧するのは、長らく融資役席を務めてきて、部店長(支店長等)や次席(副支店長、次長)にならずして、「万年代理」のような融資業務のノウハウが中堅、若手の行員になかなか継承されていないことです。
また、部店長や次席は、3店舗が統合すれば、部店長も次席も兼務になるので、下手をすると、3人のうち、2人の部店長がポストを失いかねません。
今や、銀行員も受難の時代なのです。
一方で、北出は、お客様の中小企業の取引金融機関向けのモニタリングに同席するのですが、時折、ベテランの融資役席から中堅、若手の行員に担当が交代すると、「ああ、僕って、あんまり融資分かってないんですよね、ははは」という軽いノリの担当者がいないとも限らず、「こいつ、ほんま、大丈夫かいな?」と心配になる時もあり、人材不足の感が否めないというのが北出の正直な感想なのです。

2 取引店舗が遠くなれば積極的にアプローチすべきである
店舗の統廃合は、あくまでも金融機関側の事情であって、融資先の中小企業経営者の中には、「店舗が遠くなって、サービス低下がひどい」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、「担当者が人材不足がアホばっかりや」とか、「店舗が遠くなったのは金融機関の都合やから担当者がこちらへ足繁く通えばええ話や」と嘆いても何も始まりません。
店舗が遠くなって、店舗への訪問がしんどければ、Zoomなどのオンラインサービスや、メールを活用して、業況報告は頻繁にできるはずです。
金融機関担当者、特に外回りの渉外係、営業課員、得意先課員にとってみれば、店舗の統廃合で担当エリアが広くなり、営業店から融資先まで業務用車で片道1時間というケースも珍しくなくなりました。
中小企業経営者は、取引金融機関が店舗統廃合によってより遠くなったとしても、担当者とのコミュニケーションは以前よりもしっかりととる必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。
