【中小企業の銀行対策】取引金融機関への定期的な業況報告がもたらすメリットとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関への定期的な業況報告がもたらすメリットについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 定期的な業況報告が取引金融機関担当者との信頼関係構築につながる
2 取引金融機関を使い倒す
どうぞ、ご一読下さい。
1 定期的な業況報告が取引金融機関担当者との信頼関係構築につながる
弊所では、お客様の中小企業の銀行対策を専門に行うコンサル事務所ですが、業況の良し悪し、資金繰りの状況を問わず、お客様の中小企業経営者には、月次で取引金融機関への業況報告を行うようにしています。
中小企業経営者の中には、「なんで毎月報告に行かなあかんのや」と疑問を呈する方がいらっしゃいますが、北出は、「まずは社長、騙されたと思って、業況報告をやってみましょうよ。資料は北出が揃えますので」と説得するようにしています。
世の中の中小企業経営者は、皆、真面目で、勤勉な方ばかりなので、取引金融機関への業況報告をやることに納得してもらえると、取引金融機関担当者とコミュニケーションをとってもらえます。
銀行員はもちろん、組織人であり、組織の論理やましてや上長からの業務指示は絶対的なものです。
しかしながら、銀行員とて生身の人間なので、毎月顔を合わせていると、不思議なもので、阿吽の呼吸のようなものができてきます。
仮に、ニューマネーをお願いすべく、資金の要請を行う際には、一義的には金融機関の中では、担当者が唯一の経営者側の応援者です。
担当者が、はなから「この度、この会社から資金の要請がありましたが、あの社長の言うことは信用おけませんので、担当者としては取り組むわけにはいきません」と言われてしまうと、元も子もありません。
なので、中小企業経営者としては、組織人で上長の業務指示には絶対に服従しなければならない担当者と間違っても喧嘩をしてはいけませんし、組織で働いている担当者を尊重してあげる必要があります。
ここらあたりが担当者に伝わると、生身の人間である担当者との信頼関係が徐々に構築できていきます。
取引金融機関という組織から信頼を得るためには、まずは担当者との信頼関係構築が最初のステップなのです。

2 取引金融機関を使い倒す
従来からの金融機関のビジネスモデルは、基本的に、一般預金者から預かった預金を原資に、資金需要のある法人や個人に融資をして、利鞘を稼ぐという形です。
他方、金融機関としても、預貸だけではなく、他の収益を得るようなサービス提供に躍起になっています。
会社であれば、総合振込や給振を取り込んで、振込手数料を稼いだり、一般個人向けには、NISAに代表されるような預かり資産を強化しています。
手数料を稼ぐことを、金融機関では、「役務収益」と言いますが、優良先への融資合戦をしていては金利競争が激しくなってしまうため、「役務収益」を増加させることは金融機関にとっては喫緊の課題となっています。
更に、優良先の囲い込みを図るため、ビジネスマッチングにも積極的です。
北出の経験則からも、毎月業況報告をしていると、新たな仕入先や得意先の開拓の必要性を取引金融機関担当者も認識してくれるようになって、取引先を紹介してくれたりします。
また、例えば、アジア諸国から原材料や製品を仕入れる場合には、外為の強いメガバンク等でユーザンスを組んでくれたり、日本政策金融公庫の中小企業事業や商工組合中央金庫では、政府系金融機関として独自の制度融資があったりします。
このように、金融機関を機能別に使い分けることも重要です。
中小企業経営者は、単に、金融機関を融資をしてもらえる存在ではなく、金融機関が様々な金融サービスを提供していることを認識して、機能別に金融機関を使い倒す必要があるのです。

