【中小企業経営者の心得】収益と資金繰りを前年同月実績とで比較すべき理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、収益と資金繰りを前年同月実績とで比較する理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 前年同月実績比較で外部環境の変化を把握する
2 前年同月実績を超えていくことをターゲットにする
どうぞ、ご一読下さい。
1 前年同月実績比較で外部環境の変化を把握する
経営改善局面の中小企業であれば、経営改善計画が策定され、経営改善計画に基づく計画値と実績値との比較をするモニタリングが行われます。
当たり前のことですが、計画値よりも実績値の方が上振れていれば「良かったね」となりますし、下振れた場合には、下振れた要因の分析が必要となって、下ブレた要因を明確化したら、具体的な改善策を実行に移していくというサイクルを回します。
他方、業績が安定し、資金繰り余力にも問題がない中小s企業であれば、取引金融機関も特に警戒することもなく、時折試算表を提出したり、決算申告後に決算書を開示すれば、取引金融機関担当者は、「社長、この調子で頑張って下さいね」とシャンシャンでことは済んでしまいます。
とはいえ、さまざまな財・サービスの価格が上昇したり、人件費も上がる一方です。
円安の進行が加速していることで、輸出がなく、直接、間接問わず、輸入商材を使用する中小企業は数多いため、コストは上昇の一途です。
「社長、この調子で頑張って下さい」と取引金融機関担当者から言われたところで、「うちの会社は万全で、安泰だ」ということには残念ながらならないのです。

2 前年同月実績を超えていくことをターゲットにする
「ここまでは順調に来ている」と一安心する経営者の気持ちは十分わかりますが、短期的には、まだまだ中小企業の外部環境は楽観視できる状況にはありません。
物価高による原価や諸経費高の傾向はまだまだ続きそうですし、政策からすれば、人件費の相場はもっと上がりそうです。
経営改善計画書や事業計画書がない場合、最も簡単なモニタリングの方法としては、前年同月実績との比較です。
収益(PL)と資金繰り表とで、前年同月実績とで比較して、トップラインが伸び悩んでいたり、コストが上がっている場合には、自社の内部要因なのか、外部要因によるものなのかを冷静に分析することが肝要です。
加えて、資金繰り表の前年同月実績との比較は極めて効果的です。
トップラインが上がっていたとしても、回収サイトがより長くなっていたり、大手商社や業界大手の問屋への支払サイトが短くなっていれば、トップラインのアップほど、キャッシュが増えていないことも懸念されます。
前年同月実績と現進行年度との比較は、試算表から簡易的に行うことができるので、経営が順調と思われている中小企業経営者ほど、前年同月実績と現進行年度の比較を毎月行う必要がありそうです。
そして、中小企業経営者は、前年同月実績と現進行年度との比較を回していくことによって、トップラインの伸び悩みや、コストアップの要因をいち早くアラートとして把握して、収益の維持、向上に努める必要があるのです。

