【中小企業の銀行対策】取引金融機関への業況報告は悪い材料を最初に吐き出すべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関への業況報告は、悪い材料を最初に吐き出してしまうべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 業況報告は結論が先が大原則である
2 悪い材料を最初に吐き出した後に好材料をぶつける
どうぞ、ご一読下さい。
1 業況報告は結論が先が大原則である
弊所では、お客様の中小企業経営者が、取引金融機関に業況報告をする際には、北出が同席をし、必要に応じて、業況報告を仕切ったり、適宜注釈を加えたりします。
金融機関への業況報告を、より短時間で効率よく行うために必要なことは、「結論が先」に尽きます。
もちろん、業況報告をする中小企業経営者も多忙ですが、取引金融機関の担当者も暇ではないので、ああでもない、こうでもないと、ダラダラ話をしていると、極めて非効率で、非生産的になってしまいます。
このため、「結論が先」なのですが、具体的には、仮に、決算報告であれば、「増収減益です」とか、「赤字に転落してしまいました」とか、悪材料から端的に吐き出すことが必要です。
もちろん、取引金融機関担当者もいきなり、「赤字に転落してしまいました」とかまされると、かなり怯んでしまうこともありますが、定期的に業況報告をしていると、「やっぱりな」と取引金融機関担当者も合点がいきますし、何よりも赤字に転落した要因を箇条書きにするように、端的にまとめていくことが効果的です。
弊所では、原則、毎月業況報告をお客様の中小企業経営者にしてもらうようにしていますが、毎月試算表を提出していれば、期末が近づいてくると、当然、「今期の着地はどんなもんですかね?」というトピックスになるので、「今期の着地はこんなもんです」と予め握っておけば、取引金融機関担当者も「やっぱりな」と納得してくれるのです。

2 悪い材料を最初に吐き出した後に好材料をぶつける
経営者の中には、「悪い材料を出してしまうと心証が悪くなるのでは」とか、「悪い材料を取り上げずに済ませたい」と思う方がいらっしゃるかも知れません。
しかしながら、決算書にせよ、試算表にせよ、いずれも定量的要素の塊なので、計算機をおけば、前々期との比較は容易にできてしまいます。
また、取引金融機関担当者も決算書がシステムに入力されるため、数字が悪くなったことから逃げようがないのです。
昨今の円安と人手不足を反映して、売上原価内の原材料費や労務費、外注費が増加するのは、業種、業態を問わず、どこの中小企業でも起こっている現象です。
何も、会社がサボっていたわけではなく、逃げようもない外部環境の脅威がもたらしたものです。
従って、外部環境の脅威がもたらした悪材料の範囲内であれば、悪材料は最初にドンドン吐き出してしまった方が効果的です。
それよりも、始まったばかりの現進行年度に於いて、前期の反省を生かして、どのような収益改善策を実行に移していくことで、収益改善効果が生まれることの方が重要です。
前期は厳しかったけれど、現進行年度は然るべき改善策を実行に移していくことによって、収益改善を図ることができることを明示することで、冒頭で吐き出した悪材料の悪い印象から、現進行年度の改善策を明確にすることで、建設的な業況報告にすることができるというわけです。
中小企業経営者は、円安が更に進行することを前提として、収益改善の具体策を明確化し、着実に実行に移していくことが重要なのです。

