【中小企業の銀行対策】メインバンクから当座貸越の極度枠を設定してもらうメリットとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンクから当座貸越の極度枠を設定してもらうメリットについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 必要な運転資金を必要なだけ資金調達する
2 当貸は優良先にしか設定してくれない
どうぞ、ご一読下さい。
1 必要な運転資金を必要なだけ資金調達する
令和7年も師走に入りました。
業種、業態を問わず、中小企業にとっては、営業面で繁忙期となるだけではなく、資金についても出入りが大きくなり、資金需要が最も高まる時期でもあります。
業種によっては、年末に原材料や商品を仕入れ、年末から年始にかけて売り切って、年が明けて2月から3月にかけて売掛金を回収していくような資金の流れであれば、季節資金として、年末に手貸を実行して、翌年3月末の期日に返済するという短期資金を毎年調達している中小企業があるかもしれません。
あるいは、長期安定資金として、期間5年で毎月約定返済をつけて、長期資金を借り入れるケースも想定されます。
このような2つのケースですと、その都度、取引金融機関に資金の打診をして、信用保証協会の保証をつけたり、プロパー資金であったり、稟議手続きで決裁後、実行となるので、実行まで3週間程度の日数が必要です。
中小企業経営者としては、「もっとタイムリーに資金を調達したい」と考えるのは自然なことです。
そこで、資金調達に際してメインバンクに打診したいのが当座貸越の極度枠の設定です。
当座貸越とは、その名の通り、必要な資金を必要なだけ借入れてることを言います。
具体的に言いますと、極度額50百万円の当貸の枠を設定してもらうと、50百万円の範囲内であれば、いつでも借りられて、いつでも返済することができるという極めて柔軟性の高い資金調達の方法であることがわかります。
当貸をうまく使うと、借り過ぎを防ぐことができますので、中小企業経営者にとっては、使い勝手の良い資金調達の方法といえます。

2 当貸は優良先にしか設定してくれない
中小企業経営者からすれば、「そんな便利なもんやったら、うちもぜひ設定してもらお。メインの○×信金の担当のやつに早速頼んでみよ」となりますが、残念ながら、そう簡単には当貸の枠は設定してくれません。
なぜでしょう?
いつでも借りられて、いつでも返せるというのが当貸の最大の魅力ですが、資金繰りの管理ができていないと、足らん分は、「当貸で借りておこ」となりますが、往々にして、返済しないまま、次の足らん分は「また当貸で借りておこ」となってしまいがちです。
これが続いていくと、当貸の残高はどんどん膨れ上がっていて、やがて、天井の極度額に達してしまい、極度額に残高が張り付いてしまいます。
こうなると、取引金融機関からすると、「実質借りっぱなしで、不良債権予備軍である」と見なされることになります。
このため、当貸の極度枠を設定してもらえるのは、しっかりと利益が出ているいわば優良先のみとなってしまうのです。
仮に支払日が月末の中小企業の場合、25日に足らずまいを当貸で資金調達をして、月末の支払に充当して、月末のお客様からの振込入金分で、翌月5日までに資金調達した分を返済してしまうというのが、当貸の理想的な使い方といえます。
また、過剰債務に陥ることを回避するべく、当貸をうまく回していくためには、資金繰り表を作成して、中小企業経営者が、いつ、いくら足りないかを常に把握しておくことが必要なのです。

