【中小企業経営者の心得】リストラに際して想定以上のコストが必要となる理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、リストラに際して想定以上のコストが必要となる理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 会社経営は攻める時が一番楽しい
2 縮小するには想定以上のコストがかかってしまう
どうぞ、ご一読下さい。
1 会社経営は攻める時が一番楽しい
弊所では、中小企業の銀行対策を主な業務としていて、お客様の中小企業が、事業所を新規に開設したり、新規事業を立ち上げたり、お客様の中小企業が資金調達を行う際、経営者のモチベーションはグングン上がります。
経営者という人種は、商いを大きくすることに貪欲なので、事業を拡大することには大きなこだわりを持っているのです。
設備投資をして、取引金融機関から設備資金を調達するとなった時は、見込まれる投資効果について計画書を策定するのですが、経営者だけではなく、メインバンクの担当者も前のめりになって、「社長、当行が全面的に資金の支援をさせて頂きます」とイケイケドンドンです。
攻めの設備投資にかかる設備資金となれば、稟議書の立て付けも前向きになりますし、何よりも長期の資金を出すとなれば、担当者自身の成績アップにもつながります。
このような前向きな資金調達には、携われる様々な人々も前向きに取り組めるものです。
このように、会社経営は攻める時が一番楽しいものなのです。

2 縮小するには想定以上のコストがかかってしまう
逆に、収益が悪化し、資金繰りが逼迫するような事態になってしまうと、会社のダウンサイジングを検討せざるを得なくなります。
取引金融機関も収益を回復させるために、必要なリストラを検討するよう、働きかけを強めてきます。
部門別損益を弾き出して、不採算部門の縮小、撤退に踏み切らざるを得なくなります。
ところが、いざ、「リストラを!」となると、想定以上の撤退コストがかかってしまうことに、経営者は愕然としてしまいます。
例えば、人員削減をする場合、最低でも、通常のお給料に加えて、解雇予告手当1ヶ月分を支払わなければなりません。
リース契約を打ち切るとなると、リース会社は物件を引き取った後の残債を一括請求してきます。
事務所を引き払う場合には、中途解約に伴う違約金が発生します。
リストラには、思った以上にコストがかかってしまうのです。
昨今では、会社業績が順調な大手企業でも、早期希望退職を募集して、人員削減に踏み切っています。
通常の退職金よりも、より大きな退職金を支払ってまでも、将来を見据えて、リストラを断行するようになっています。
中小企業の場合でも、リストラに踏み切ろうとした時に、現預金がカツカツになっていては、必要なリストラにも、踏み切ることができません。
リストラにはコストがかかるのです。
このため、会社の一定程度の現預金や収益力が残っている段階で、リストラに踏み切る必要があるのですが、実際問題、中小企業の場合には、「まだまだ頑張れるはず」と、早期のリストラに躊躇してしまうケースが多いのです。
解雇要件は依然として厳しいままで、会社都合での人員削減のハードルは極めて高いというのが現実ですが、大企業に比較して、経営基盤の脆弱な中小企業だからこそ、機を逃さず、リストラを断行する必要があることを中小企業経営者は肝に銘じる必要があるのです。
同時に、リストラを断行せざるを得ないような状況に陥る前に、粛々と経営改善を図ることが大切なのです。

