【中小企業の銀行対策】中小企業経営者が意識すべき要償還債務の償還年数とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業経営者が意識すべき要償還債務の償還年数について考えます。
1 要償還債務の償還年数は借り過ぎが否かのバロメーターである
2 要償還債務の償還年数を適正化し利上げに備える
どうぞ、ご一読下さい。
1 要償還債務の償還年数は借り過ぎが否かのバロメーターである
中小企業経営者の中で、要償還債務の償還年数と聞いて、とっさに「ああ、しってるよ」と言える経営者はそう多くないかもしれません。
一方で、「うちの会社は借り過ぎなんと違うやろか?」と内心心配になっている中小企業経営者がいるかもしれません。
ざっくり言ってしまえば、要償還債務の償還年数とは、正味の借入金を何年で返せるのかと示す指標で、まさに、中小企業経営者にとってみれば、借り過ぎか否かを知るバロケーターそのものです。
では、要償還債務の償還年数について簡単に説明していくことにします。
要償還債務とは、利息を払う必要があって返済しなければならない借入金と社債を示す用語です。
要償還債務は、借入金から正常運転資金(=「売掛金」+「棚卸資産(在庫)」ー「買掛金」)を差し引いたものを言います。
要償還債務を正味の借入金と言い換えることができるかもしれません。
要償還債務を返済原資となる広義の利益(=「経常利益」+「減価償却費」ー「法人税等)で除したものを償還年数と言います。
まとめますと、「要償還債務の償還年数」=(「有利子負債小計」ー「正常運転資金」)÷(「経常利益」+「減価償却費」ー「法人税等」)と数式で弾くことができます。
その上で、要償還債務の償還年数が10年以内なら「健全」、10年超20年以内なら「黄色信号」、20年超であれば「レッドカード」という具合になります。
中小企業経営者の皆様、どうぞ、自社の直近の決算書から、自社の要償還債務の償還年数を計算してみてはいかがでしょう。

2 要償還債務の償還年数を適正化し利上げに備える
要償還債務の償還年数に注目すべき理由は、ひとえに、過剰債務に陥ってしまうと、返済負担が重くなり、資金繰りの圧迫要因になるためです。
それだけではなく、同業他社との競合の中で、元本返済分をどうしても価格添加せざるを得なくなり、同業他社との競争力が失われてしまうからの他なりません。
過剰債務は、会社の競争力を奪い、資金繰りも圧迫してしまう厄介な存在で、事業継続にも支障が出ないとも限りません。
加えて、加速する円高を抑制するため、通貨当局が利上げに動く公算が高くなっていることで、直接的には長期金利の上昇は避けられませんが、中小企業が借入レートに直接影響のある短期金利が上がることも否定できません。
市場金利の上昇による中小企業への適用レートの上昇は、営業外費用の支払利息増加に直結します。
金利の上昇が避けられない中、支払利息増加は経常損益を痛めてしまいます。
このように、デフレの世の中は既に過去のものであって、過剰債務の事業継続リスクは高まる一方です。
中小企業経営者は、自社の要償還債務の償還年数を重要な指標と位置付け、有利子負債の着実な圧縮に努めていく必要があるのです。

