【中小企業経営者の心得】中小企業にとって妥当と言える夏の賞与とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、中小企業にとって妥当と言える夏の賞与について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 賞与の原則はあくまでも利益処分の範疇である
2 優秀な人材確保のため可能な限り賞与を支給する
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 賞与の原則はあくまでも利益処分の範疇である
世間では、夏休みを前にして、夏の旅行はどうするかとか、賞与の使い道はどうするかとか、ちょっと浮かれたニュース報道が見受けられます。
報道によれば、け経団連加盟の大手企業の夏の賞与の平均額が、初めて100万円を突破したとのこと。
大手企業の多くは、早ければ6月10日に賞与が支給されていますし、公務員の賞与支給日が6月30日であったため、世の中では相当程度の労働者が既に賞与を受領しているはずです。
わたくし北出は、サラリーマンを辞めて独立してから丸17年が経過しましたが、独立以降、当たり前ですが、賞与とのご縁はついぞなくなったので、賞与の平均額が100万円突破と言われても、ピンと来ないというのが北出の実感です。
ちなみに、弊所では、中小企業向けの銀行対策のコンサルタント業務を行っていますが、銀行等金融機関は、暦通りに営業するので、銀行等金融機関の役職員は、前後の土日を加えて9連休の連続休暇を取得するのが普通です。
外回りの営業担当や渉外係は、多くの事業所が休業するお盆の期間に連続休暇を取得することが多いのですが、金利のある世界を迎えて、概ねどの金融機関も好業績となっているので、銀行員の賞与はもしかするとこれまでにない高い水準になっているのかもしれません。
それはさておき、中小企業において、賞与の支給状況はどのようなものでしょうか。
もちろん、中堅・中小企業でも、優良企業で、安定した収益を叩き出している会社が少なからず存在するので、もしかすると、例年通り、もしくは例年を上回る賞与が支給されている会社があるかもしれません。
他方、原材料高で原価が高騰するなどして、物価高の影響を受けて、例年よりも減益となっている中小企業も少なくありません。
賞与を受け取る従業員からすると、「うちの会社の夏のボーナス、今年はどのくらいもらえるんやろか」と今からソワソワするものですが、実際、賞与を支給する側の立場にある中小オーナー企業のオーナー兼経営者からすれば、賞与を出すのは簡単なことではありません。
まず、大前提として大切なことは、賞与はあくまでも利益処分の範疇にあることです。
端的にいえば、賞与を出したことで赤字になってしまっては、融資を出している取引金融機関としては、「あ、そうですか」と片付けられることではありません。
稀に見る円安の影響を受けた物価高によって、中小企業の経営環境はこれまでになく厳しいものがあります。
そのようなネガティブな外部環境下で、中小企業が賞与を例年並みに支給することはそうたやすいことではないのです。

2 優秀な人材確保のため可能な限り賞与を支給する
このように、中小企業を巡る経営環境は厳しいものがあります。
一方で、大手企業がこぞって賞与を増額する中、世間の賃上げ圧力は相当強いものがあります。
特に、優秀な人材が競合他社に流出するようなことがあっては、会社にとって大きな損害です。
このようなことから、特に、この夏における中小企業の賞与の支給スタンスは、可能な限りの賞与を支給することが肝要です。
多くの中小企業経営者の本音としては、いつも頑張ってくれる従業員に報いるため、なるべく賞与を出してあげたいと考えることはごく自然なことです。
他方、上記でも述べましたが、賞与を支給したので、赤字になったり、資金繰りが厳しくなるようなことは絶対に避けなければなりません。
このため、中小企業の賞与支給水準の最適解としては、長期借入金の元本返済分のキャッシュフローを確保することを大前提にすることが挙げられます。
長期借入金の元本返済分のキャッシュフローを確保しておかないと、近い将来資金ショートが起きてしまい、既往の借入金の折り返し等でニューマネーの調達を余儀なくされてしまいます。
これでは、借入過多の状況が続いてしまい、金利上昇局面であることから、支払利息の増加が収益圧迫要因になってしまいます。
取引金融機関との信頼関係維持のためにも、賞与支給について、メインバンクに事前に打診しておくことも銀行対策として有効です。
そして、何より大切なことが、賞与支給時には、経営者が自らの言葉で、従業員への日頃の感謝とこれからの奮起を促すことを伝えることが必要です。
シビアに言えば、「賞与をもらえることを当たり前と思うなよ」という言外のメッセージを添えることも重要です。
大手が半期で3ヶ月、4ヶ月分の賞与を支給するのと違い、中小企業の賞与は、1ヶ月分、多くて2ヶ月分で、大手よりも見劣りしてしまいがちです。
「寸志」の程度しか支給できない中小企業も少なくありません。
中小企業経営者は、賞与支給時だからこそ、従業員との間で、働くことの意味合いや将来目指すべきビジョンなどを共有する貴重な機会にしてみてはいかがでしょう。

