【中小企業の銀行対策】新卒採用実績から見えてくる金融機関の勢いの差とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、新卒採用実績から見えている個別金融機関の勢いの差について考えてみます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 新卒採用実績は金融機関の勢いのバロメーターの一つである
2 新卒が十分採用できていない金融機関の未来は暗い
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 新卒採用実績は金融機関の勢いのバロメーターの一つである
2026年度の学生の就活は、事実上もう終了していて、多くの学生が内内定と呼ばれる採用予告を手にしていて、残り半年ほどの学生生活をエンジョイするという局面です。
世間の就活のトレンドは、売り手市場の中、IT関連やバイオ系などに学生の人気が集まっていますが、未だ、金融機関に就職したいという学生は一定数いて、メガバンクを始めとした大手金融機関は、学生の就活人気ランキングの上位に位置していたりします。
一方、地方銀行や第二地銀、信金や信組といった地域金融機関の場合、学生の就職人気には濃淡が存在するようです。
地域金融機関の中でも、規模が大きく、預貸の取引だけではなく、ビジネスマッチング、M&A等役務収益にノウハウを蓄積している金融機関は、やはり一定の就活人気を集めているように見えます。
「金融は斜陽産業」と見る向きもありますが、やはり、地域金融に貢献したいとか、金融のプロフェッショナルになりたいと感じる学生も着実に一定数存在することは間違いないようです。
今春2026年入社(入行、入庫)組でも、そのような傾向が顕著に見受けられます。
一方、「どうみたって、新卒少なすぎるやろ」とみて取れる地域金融機関も現実に存在します。
「どうみたって、新卒少なすぎるやろ」とみて取れる地域金融機関は、2026年入社組に限らず、過去10年程度を遡ってみても、似たようなトレンドにあるようです。
北出は、弊所の関与先中小企業のメインバンクに経営者と共にお邪魔しますが、どうみても、営業店(支店等)の人員が足りていないと感じることは珍しくありません。
20代から30代前半にかけての若手の役職員がどうみても少ないのです。
地域金融機関は、本来であれば、外回りの渉外担当者がしっかりといて、融資先中小企業に定期的に訪問して、社長と面談し、資金ニーズを引き出せるような人材が不可欠です。
地域金融機関の外回りの担当者は、原チャリに乗って、小回りを効かせて融資先中小企業への訪問頻度を上げることが必要です。
しかしながら、そのような元気な外回り担当者が十分育っていない地域金融機関が散見されるのです。
元気な若手外回り担当者が十分育成できていない地域金融機関では、次席(副支店長や次長、管理職)になっても、次席が雑用のようなことをやっていて、(この副支店長、ちゃんと店のマネジメントできてんのかな?)と心配になる程です。
一方、新卒をしっかり採用している金融機関では、入行3年目の新人外回り担当者を外回りの役席が同行して、OJTをきっちりと機能させています。
いかに、座学の研修をやっても、外回りの現場は教科書通りにはいきません。
ましてや、相手は、百戦錬磨の中小企業経営者なので、中小企業経営者から(なんやコイツは)と思われてしまったら、出禁を食らっても、不思議ではありません。
北出がまだサラリーマン時代で、とある地域金融機関の本部審査部の審査企画課長のところに出入りしていた頃(もう20年以上前のお話ですが)、その金融機関では珍しく、旧帝大の経済学部を卒業した秀才がいて、その人は、通称「学者さん」と呼ばれていて、「学者さん」はめちゃくちゃ頭は良かったのですが、どう頑張っても、営業店(支店等)には出すことができず、ずっと本部の総務部などにいたのだそうです。
地域金融機関に限ったことではありませんが、必ずしも京大や阪大を出ていれば良いというわけではないというのが「学者さん」の教訓です。
どのような組織にいても、会社を興そうが、個人事業だろうが、大切なのは、コミュニケーション能力です。
伊藤忠のCMではありませんが、地域金融機関をはじめ、どの組織においても、商いをさせて頂くという真摯な姿勢が大切なのだと改めて思い知らされます。
このように、新卒を採用して一から教育して一人前の戦力に育成するためには、上に立つもの自身がイノベーションを起こしていくような気概が大切なのです。

2 新卒が十分採用できていない金融機関の未来は暗い
たかが新卒採用と思えてしまいますが、一定期間、新卒採用が十分できない状況が続いてしまうと、ヒト世代分、従業員が薄くなってしまいます。
これでは、組織の中の年齢層別人員構成が歪んでしまうことになります。
地域金融機関の場合、新卒採用が十分できない期間が10年程度続いてしまうと、若手中堅がほとんどおらず、肩書き上管理職の人たちばかりになってしまい、本部のスタッフ部門が大きくなって、営業店での人員不足が深刻になります。
このような金融機関では、格別の経営統合など抜本的な組織変更がないにも関わらず、営業店網を維持することができず、店舗の統廃合(店舗内店舗方式によります)に踏み切らざるを得なくなります。
これでは、外回りの渉外担当者が足らず、店舗の統廃合によって統廃合された営業店から一部の融資先までの物理的距離も遠くなってしまうため、従来は、月一回訪問してくれていた渉外担当者がほとんど来なくなってしまうことになりかねません。
特に、信金など地域金融機関では、大げさに言えば、街角毎に営業店が存在して、渉外担当者が電話一本で訪問してくれたり、営業店に行けば、融資先を回っている支店長に代わって営業店を仕切る次席(副支店長や次長)が「いらっしゃいませ」と応接室に招き入れたりしてくれるにも関わらず、営業店網の統廃合は、営業店と中小企業経営者の距離を遠ざけてしまいます。
少なくとも、地域金融機関が営業店網を維持し、若手・中堅人材を育成していくためには、営業店の数を上回る位の新卒採用が必要だと北出は考えています。
例えば、営業店が100店舗あれば、新卒の最低人数は100人といった具合です。
就活の学生は、昔と違って皆勉強していますし、両親や友達から様々なアドバイスを集約して、最終的に就活先を決めているはずなので、新卒採用実績は、少なからず、それぞれの会社の世間の評価を反映しています。
就活の学生に魅力を感じてもらえない金融機関の未来は暗いと言わざるを得ません。
中小企業経営者は、自社の成長な資金をタイムリーに調達していくためにも、新卒採用をしっかりとしている金融機関をメインバンクとして選択する必要があります。
個別金融機関の新卒採用実績は、マイナビなどの人材関連のウェブサイトで確認することができるので、中小企業経営者は、自社のメインバンクの新卒採用状況を一度確認してみてはいかがでしょう。

