【中小建設業の銀行対策】中小建設業が入札ピーク時に備えて今から取り組むべきこととは?
今日は、中小建設業の銀行対策として、中小建設業が入札ピーク時に備えて、今から取り組むべきことについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 前期の個々の工事の実行予算対実績値を評価する
2 今期こそ原価管理を徹底する現場力を高める
中小建設業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 前期の個々の工事の実行予算対実績値を評価する
2026年9月に入りました。
公共工事をメインに受注している中小建設業は、どこも6月、7月もしくは8月といったいわばオフピーク時に決算月にしているケースがほとんどですが、6月決算であれば先月末に決算申告が完了しているため、取引金融機関から決算書の提出を求められるタイミングです。
7月決算であれば、現在会計事務所と連携をして、決算集計中ですし、8月決算であれば、決算が締まって直後のタイミングです。
いずれの決算月であったとしても、2026年3月までの完工分の個々の工事について、実行予算に対する実績値は集計が済んでいるはずです。
例えば、Aという現場で、受注金額60百万円、予定工事粗利益率25%であれば、15百万円の工事粗利益を確保する予定でしたが、実際に残せた工事粗利益が15百万円を上回ることができればその現場監督は「よくできました」という評価が下ります。
しかしながら、工事粗利益が15百万円を下回っていれば、下振れた要因を明確化しなければなりません。
工事の進捗が遅延して、工期を遵守するため、工事の終盤にやむなく単価の高い応援を入れざるを得なくなったようなケースは珍しくありません。
自然災害や、資材の調達遅延といった、自社ではどうしようもないネガティブな外部要因が工事粗利益を押し下げたのであればやむを得ないということになりますが、工事の段取りが悪かったりしたのであれば、そのような事態が再発しないよう、改善策を講じなければなりません。
工事粗利益をしっかり残すことができなければ、取引金融機関から調達した工事見合いの引当融資(紐付融資ともいう)が期日に返済できないという事態に陥りかねません。
役所からの最終工事代金の入金があったにも関わらず、格別の理由がない限り、引当融資の返済をしてしまったら、給料を支払えないという事態は、取引金融機関から理解を得ることができません。
期日までに引当融資を返済することができなければ、来春の引当融資の調達が難しくなってしまいます。
工事見合いの引当融資が調達できなければ、元請で大型工事の入札を見送らざるを得なくなります。
そのような事態に陥ってしまうと、事業継続に大きな支障となってしまうため、取引金融機関から引当融資を受けている限り、個々の工事の原価管理の徹底は必須なのです。

2 今期こそ原価管理を徹底する現場力を高める
9月に入ってからは、徐々に公共工事の入札物件が出てきます。
令和7年度の補正予算が順次執行されていくので、府県、市町村だけではなく、国の出先機関からも入札案件が順次リリースされてきます。
一方、住宅ローン金利の上昇や資材価格の高騰の影響から、一般施主からの元請の建築工事業者が既存の事業領域に見切りをつけて、公共工事の入札に新たに参入してきているケースが散見されるため、これまで以上に入札物件の競争は厳しさを増してきます。
といって、あまりに低価格で札を入れてしまうと、低入(最低落札価格よりも大きく下回る金額で札を入れること)とみなされてしまうと、再度入札といったことにもなりかねないため、新規参入組は、より一層厳密な積算が求められます。
こうしたことから、より緻密な積算ができるような社内体制を今から構築するのと共に、現場に関しては、前期の個々の工事の実行予算対実績値を踏まえて、現場監督以下、外注業者に至るまで、しっかりと実行予算に基づいた原価管理を徹底できる準備を進めていく必要があります。
更に、取引金融機関に対しては、決算書提出時に、前期決算の概要に加えて、今週から来春にかけての公共工事受注体制の強化を中心とした現進行年度の取り組みについて、書面に落とし込んで、決算書に添付して、取引金融機関に提出することが望ましいと言えます。
そして、取引金融機関に、これまでと同様、工事見合いの引当融資(紐付融資)への取り組みをお願いすることも忘れてはなりません。
同時に、引当融資とは別に、実行予算管理の厳格化によって、長期借入金の年間返済額を満たすFCF(フリーキャッシュフロー)を確保していくことで、取引金融機関、なかでもメインバンクの協力を取り付けることが重要なのです。
中小建設業にとっては、資材価格の高騰、職人の人件費高騰による外注費の増加、燃料費の増加など現場経費が高止まるなど、会社を巡る外部環境はこれまでになく厳しさを増しています。
長期金利の上昇圧力が強まる中、年内にさらなる銀行等の短期プライムレート引き上げも予想されるなど、本業以外の営業外費用である支払利息の増加も懸念されます。
このため、本業で稼ぐこと、中小建設業で言えば、原価管理の徹底こそが事業の安定的な継続の鍵となります。
中小建設業経営者は、これらのことを踏まえて、間もなくやってくる公共工事の入札シーズンにしっかりと準備を整えていく必要があるのです。
【中小建設業経営者の皆様へ】メインバンクとの信頼関係強化による受注機会拡大の実現へもご一読下さい。

