【中小企業の銀行対策】中小企業にとって理想的な決算月とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業にとって理想的な決算月について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 意外にも決算月にこだわりのない経営者は少なくない
2 決算月を閑散期とするのがセオリーである

中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。

1 意外にも決算月にこだわりのない経営者は少なくない

弊所のお客様中小企業経営者にふと、「社長、決算月てなんで8月にされているのですか?」とお尋ねすると、「いや、特にこだわりないねん」とお答えになる経営者が少なくありません。
主要な取引先に決算月を合わせているようなケースも見受けられますが、多くの中小企業では、創業時、会社を設立したタイミングから1年後としているケースが多いようです。

確かに、役所や金融機関でもあるまいし、3月や9月を決算月にする必要もありませんし、3月決算の場合、繁忙期に当たる会計事務所から、「決算月、変えてもらえませんか?」という要請を受けることもありますが、決算月にこだわりがないということもわからないでもありません。
決算書を分析する取引金融機関としても、3決の融資先が集中するので、できれば3決は避けてくれというのが本音のところです。

ところが、季節変動要因が大きな業種、業態では、決算月によって、会社の命運が大きく変わるといっても過言ではありません。
例えば、マイナーな業種で恐縮なのですが、真珠の加工業者の場合、国内産の真珠が浜揚げされるのが1月から3月にかけてなので、真珠の加工業者は、1月から3月にかけて、各真珠組合が開催する入札会を通じて、年1回、真珠の珠を一気に仕入れ切ります。
このタイミングを逃すと、良質な珠を仕入れることができなくなってしまうので、向こう1年間、販売で苦戦を強いられてしまいます。
このため、年1回の仕入は、会社の命運をかけて行われるものなのです。

このような業種特性の場合、仮に3月決算にしてしまうと、在庫がピークを迎えることに加えて、仕入資金として金融機関から調達する短期借入金が年間で最も大きな金額となってしまいます。
在庫の販売が進み、在庫が売掛金に変わり、売掛金が得意先から入金されて現預金に変わると、順次、短期借入金を返済(内入れ)していくことになります。
このため、3月決算にすると、貸借対照表上では、在庫と短期借入金が多額計上されて、総資産も膨張しまくってしまいます。
他方、内部留保(貸借対照表の右下、貸方の右下の株主資本合計)の金額はそう大きく変動しないため、3月決算では、自己資本比率(=株主資本合計÷総資産×100%)がミニマム(最小値)となってしまい、金融機関の自己査定上、ネガティブに作用してしまいます。

このように、決算月にこだわりを持つ必要がない会社は、季節変動がない場合に限られます。
季節変動が大きくなければ、在庫の金額が大きく変動することもありませんし、季節資金のような短期借入金も発生しません。
中小企業経営者がさらっと流してしまっている決算月へのこだわりですが、季節変動が大きな業種、業態では、決算月によって、BS(貸借対照表)の姿が全く別物になってしまうのです。

【中小企業の銀行対策】中小企業にとって理想的な決算月とは?

2 決算月を閑散期とするのがセオリーである

一方、繁忙期ではなく、閑散期に決算月を設定すると、BSはどのような姿になるでしょうか。
閑散期には、在庫がミニマムになり、仕入資金として調達してきた短期借入金も最小限度、もしくは完済できるかもしれません。

真珠の加工業者で言えば、11月決算にすれば、在庫は底で、短期借入金も最小限度に止めることができ、総資産も最大限に圧縮することができます。
総資産が圧縮できれば、自己資本比率はアップして、金融機関の自己査定もプラスに働くことは間違いありません。

実際、例えば、小売業、特に、スーパー各社は2月決算としています。
イオングループ各社をはじめ、地場資本に至るまで、2月28日は、実地棚卸しのため、営業は夕方19時で終了、もしくは28日は休業日としているスーパーもあるほどです。
確かに、ニッパチとはよくいったもので、2月は営業日が少なく、節分以外、目立ったイベントはなく、とにかくまだまだ寒い季節なので、個人消費が落ち込むタイミングです。
小売業が2月決算とするのは、閑散期で、BSの総資産が最も縮むタイミングで、BSが最もスリムになり、資産効率も最大限大きくなるので、決算月としてはうってつけなのです。

中小企業経営者は、「たかが決算月」と決算月を軽視することなく、自社の閑散期を見極めて、場合によっては、決算月を変更して、変則決算を組むことを検討する必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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