【中小企業の銀行対策】取引金融機関担当者の10月1日付の人事異動を前にやっておくべき根回しとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関担当者の10月1日付の人事異動を前にやっておくべき根回しについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 金融機関の人事異動は定期的に必ず行われる
2 新旧担当者の引継ぎでは悪い材料は必ず引き継がれる
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関の人事異動は定期的に必ず行われる
今日は、2026年9月14日月曜日で、金融機関では9月末が半期末に当たるので、融資残高、預金残高、その他雑物(クレカとかNISAとか、そういうもの)の目標必達に向けて、金融機関営業店(支店等)は、部店長(支店長等)が毎日数字の詰めを外回りの営業担当者に行っていて、この季節に金融機関営業店にお邪魔すると、なんとなくピリついた雰囲気を感じてしまいます。
9月末の半期が終わると、次にやってくるのが10月1日付の人事異動です。
金融機関によっては、4月1日、10月1日に拘らず、毎月必要に応じて人事異動を行っていますが、人事異動とは、一人が動けば対となるもう一人も動くので、ある程度まとまった規模で人事異動がなされる方が、人事部人事課としてはやりやすいのかなと勝手に北出は考えています。
それはさておき、金融機関は、人事異動がついて回ります。
一つの部署、担当先を特定の担当者が長く担当するメリットもあるのでしょうが、癒着や不正の発生を防止するためにも、人事異動は必要なものと言わざるを得ません。
特に、金融機関は、取り扱っているものがおカネ現物なので、癒着、不正は絶対に起こしてはならないものです。
しかしながら、東北の小さな信組で乱脈融資が行われていたり、関西でも、紀州の方の信用金庫の役席が預金を着服していたりと不祥事が目につきます。
乱脈融資や預金の着服などは、昔っから金融機関で起こっている不正の典型例で、その防止策をどこの金融機関でも講じてきたはずなのですが、古くて新しいのが金融機関での不正、不祥事ということができるかもしれません。
このような背景から、金融機関では、人事異動はついて回るものです。
融資を受けている中小企業経営者からすれば、担当者の異動を知らされると、「せっかくうちの会社のことを理解してくれていたのに、また一から話をして、関係作りをせなあかんのか」と凹んでしまうのですが、こればっかりは致し方もありません。
とはいえ、半年前に変わったばかりの今の担当者が異動することは考えにくいので、人事異動の平均的なタームを考えてみると、部店長クラス(支店長級)で早くて1年半、長くて3年、担当者クラスで早くて2年半、長くて4年といったところが目安になります。
中小企業経営者の中で、「メインバンクの今の担当者は、確か3年以上は経ってるな」と思い至るのであれば、そろそろ担当者の異動が現実味を増してきます。
担当者の異動時に中小企業経営者が留意すべき点について、次にお話を進めていくことにします。

2 新旧担当者の引継ぎでは悪い材料は必ず引き継がれる
担当者が変更されてしまう中小企業経営者もさることながら、異動の直接の当事者である担当者にとっても異動は大きなイベントです。
中小企業経営者としては、「今度どんな奴が担当になるんやろう、変人が来たらどうしよ?」と不安を抱えますが、新担当者も「支店長、どんな人やろう? 役席が厳しかったいややな。担当者先の社長とソリが合わへんかったらどうすればええんやろ?」とお互い、疑心暗鬼で、最初は腹の探り合いです。
引継ぎ期間では、新旧担当者が揃って、担当先を一気に回りますが、あわよくば社長と会えればラッキーという具合に事前アポもありません。
経営者と新旧担当者がたまたま顔を揃えることがあったとしても、軽口はなかなか叩けません。
旧担当者に「次はどちらへ」と質問しても、次の先が栄典であれば良いのですが、僻地の支店に飛ばされるのであれば、無難に「これからも元気で頑張って下さい」としか言いようもありません。
一方、新担当者に「どちらからいらっしゃったのですか?」と質問したら、「新任ご挨拶」の名刺を差し出した新担当者がいかにも昇格してきましたというような風であれば、新旧担当者の明暗が分かれてしまって、その場の雰囲気がしらけてしまう可能性もなきにしもあらずです。
また、異動に伴う新旧担当者の引き継ぎの期間はどんどん短くなっていく傾向にあるようです。
移動前の部署で3日、移動先でも3日、下手をすると、2日づつなんてケースも見受けられる程です。
このため、新旧担当者が主な先をババババって回って新担当者が「新任ご挨拶」の名刺をばら撒いて、書面の引継ぎも時間切れになってしまって、旧担当者が「あとは、過去の稟議書と商談メモを参照して下さい」と終わってしまいがちです。
過去の稟議書と商談メモはかなりの分量であって、それも担当先も数十社に及べば、2、3日の引継ぎでは、あまりにも時間がなさすぎて、融資先個々の特徴や強み、弱みを伝えることもできません。
ただし、間違いなく言えることは「悪い材料は確実に引き継がれる」ことです。
例えば、「あの会社の期末在庫やけど、たまたま期末のタイミングで会社にお邪魔して、倉庫をちらっと見たけど、どう見ても期末在庫の金額ほど現物があるようには思えへんかったから、期末在庫、盛ってるかもしれへん。きいつけといてな」とか、「あの社長、時々嘘つくからきいつけやなあかんで」とか、粉飾の疑義があったり、社長が本当のところを話していなかったりすると、警戒すべき先として引き継がれる可能性が高いのです。
中小企業経営者は、取引金融機関担当者の担当歴が3年以上に達している場合には、まもなく到来する10月1日付の人事異動で担当者が交代する可能性があることを認識して、今のうちから、モニタリング(業況報告)を丁寧に行って、来るべき新担当者への円滑な引継ぎに備える必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

