【中小企業の銀行対策】同じ業態の金融機関でも勢いの差が拡大している現状とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、同じ業態の金融機関でも勢いの差が拡大している現状について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 業態別の金融機関の特徴を知る
2 同業態の金融機関でも勢いの差が歴然としてきている

中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。

1 業態別の金融機関の特徴を知る

世間では、銀行、金融機関と一括りで捉えられがちですが、銀行、金融機関といってもいくつかの業態別に分けることができます。
知ってそうでよく知らない金融機関の業態別の特徴についてまずは考えてみることにします。

金融機関の中でも、上位に位置づけられるのが、3メガバンクです。
3メガバンクとは、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行の3行をいいます。
3メガバンクは、国内にとどまらず、海外主要都市に現地法人を設立していて、グローバルに展開しています。
融資先も、預金取引先も、大企業から、中小企業、一般個人にまで幅広く展開しています。
預金量も融資残高もいずれも他の金融機関を寄せ付けないような存在感を放っていて、CMなど広報活動も盛んであることから、国内では圧倒的な知名度を有しています。

次に位置するのが、メガバンク以外の大手金融機関です。
メガバンクにまでは及ばないものの、関西と関東に幅広く展開しているのがりそな銀行です。
特に、関西では、りそな銀行の存在感は大きく、旧大和銀行の潮流を汲んでいて、大阪府や府内主要自治体の筆頭指定金融機関になっていて、関西の多くの中小企業がりそな銀行をメインバンクにしています。

3メガバンクとりそな銀行の源流を辿ると、平成の初めに15行あった旧都市銀行に行き着きます。
15行のうち、北海道拓殖銀行は後に経営破綻してしまいますが、残り14行が3メガバンクとりそな銀行に集約された格好です。

次に地方銀行ですが、元々の地方銀行を俗に第一地銀と呼びますが、第一地銀に対して第二地銀が存在します。
地方銀行といっても、その地方地方によっても違いがありますし、経営統合が進んでいることもあって、一概にはいい難いのですが、地方銀行は、府県内で最大のシェアを握っていて、府県の指定金融機関であったりします。
地方の中小企業が同じ府県の第一地銀をメインバンクにしているケースは非常に多くあります。

全国組織の金融機関として見逃せないのが商工組合中央金庫(商工中金)です。
かつては政府系金融機関でしたが、完全民営化されていて、基本的には、銀行等民間金融機関と同じような金融サービスを展開していますが、危機対応資金や一部の業界向けの制度融資など、政府系金融機関時代の政策金融は継続されていて、基本、中小企業にとっては力強い存在です。

次に、会員組織である信用金庫、協同組合組織である信用組合が存在していて、いずれも地域金融機関として、重要な役割を果たしています。
信用組合は、かつて全国的に経営破綻が続いたり、経営統合が進んでいたりして数を減らしていますが、大阪府内では、信用組合が一定数存在していて、小規模事業者や個人事業主にとっては重要な金融機関です。
信用金庫も、全国津々浦々に点在していて、しんきん中金を上部団体として、中小企業や小規模事業者にとっては大切で貴重な資金調達源となっています。

他にも信託銀行や、政府系の日本政策金融公庫が存在しますが、民間金融機関としての業態別の特徴は一旦、ここまでとします。

【中小企業の銀行対策】同じ業態の金融機関でも勢いの差が拡大している現状とは?

2 同業態の金融機関でも勢いの差が歴然としてきている

先ほどは、金融機関の業態別の特徴についてお話をしました。
しかしながら、私北出がお客様の中小企業を通じて、様々な金融機関と接触している中で感じていることは、同業態の金融機関といっても、勢いの差は大きくなってきていて、かつ、その差は、益々拡大していくことが予想されることです。

同業態の金融機関の中で、勢いに差が出てきて、その差が拡大していく背景にあるものが、「金利のある世界」が到来してきていることです。
例えば、同じ信用金庫で、同じ融資先であるにもかかわらず、提示されてくる貸出レートに少なからぬ差が歴然と出てきています。
そのような差が出てくる理由は、例えば、資金量(預金量)2.5兆円、融資残高1.6兆円の信用金庫と、資金量4,000億円、融資残高2,000億円の信用金庫では、収益構造は全く異なったものになっています。
規模が小さく、預貸率(=「融資残高」÷「資金量」×100%)が高ければ高いほど、資金量も融資残高が多ければ多いほど、政策金利の引き上げによる金利上昇の恩恵を受けられますが、低預貸率かつ小規模な金融機関では、金利上昇の恩恵は極めて限定的にとどまります。
それだけではなく、預貸率が低い金融機関ほど、余剰資金を投資有価証券での運用に依存してしまいますが、長期金利の上昇(債権価格が下落)によって、保有する投資有価証券に莫大な含み損が発生していて、満期目的での保有分であれば、満期が到来する度に、投資有価証券証券売却損が断続的に発生して、自己資本を食い潰してしまいます。
そのような金融機関では、総資産圧縮を急がざるを得なくなり、貸し渋り、貸し剥がしが顕在化してくる可能性が極めて高いのです。
もちろん、このご時世なので、ペイオフ発動のような金融機関の破綻は行政庁の意向もあり、ほぼ起こり得ないと北出は考えていますが、弱小金融機関が事実上の救済合併で勝ち組金融機関に飲み込まれてしまうことは十二分に想定されます。

例えば、同じ50百万円の融資を打診したところ、小規模低預貸率のA信用金庫は、出来上がりのレートが3.650%である一方、大規模高預貸率のB信用金庫は、地方銀行中位行でも出せないような1.950%といった戦略的レートを出してくれたりします。
A信用金庫とB信用金庫の出来上がりのレートの差は2%弱にも達します。
高い信用度で預金を集めやすい金融機関は、預金という形で、市場から調達するより低いレートで資金調達ができるため、同業態の金融機関であっても、自力の差が益々明るみに出てきます。

中小企業経営者は、自社のメインバンクの預貸率、資金量と融資残高をチェックして、勢いのある金融機関であるのか否かを冷静に検討して、負け組金融機関が自社のメインバンクである場合には、勝ち組金融機関にメインバンクを徐々に寄せていくような経営姿勢が重要になるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

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