【中小企業の銀行対策】中小企業経営者が知っておくべき金融機関の「血筋」とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業経営者が知っておくべき金融機関の「血筋」について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 どの金融機関もルーツがある
2 金融機関の「血筋」を知ることで、メインバンクとの適切な付き合い方が見つかる
どうぞ、ご一読下さい。
1 どの金融機関もルーツがある
わたくし北出は昭和45年生まれで、社会人になった1993年はバブルの最後の局面でした。
1993年(平成5年)当時、当時の都市銀行の数は11行で、第一勧銀(DKB)、富士、三菱、住友、三和、大和、太陽神戸三井(その後さくらに改称)、東京、あさひ、東海、北海道拓殖の各銀行が日本を席巻していました。
不幸なことに、その後のバブル崩壊の影響を受けて、拓銀が経営破綻してしまいます。
第一勧銀、富士に興銀(日本興業銀行)の3行統合によって、現在のみずほが誕生します。
さくらと住友が合併して、現三井住友ができ、三和が東海を事実上吸収して旧UFJとなり、三菱と東京が経営統合した東京三菱が旧UFJを飲み込んで、現在の三菱東京UFJができました。
みずほ、三井住友(SMBC)、三菱UFJがいわゆる「3メガバンク」を形成するに至っています。
「3メガバンク」プラスワンのプラスワンがりそな銀行で、りそなは一時的に国有化を余儀なくされましたが、旧大和の地盤を活かして、特に、関西では、りそな銀行はシェアを維持しています。
旧都市銀行の合従連衡は激しいものがあり、旧財閥の枠を大きく超えて、現在の3メガバンクプラスワンの大手銀行体制が構築されているのです。
3メガバンクプラスワンの体制が20年以上経過したことで、経営統合直後の旧行弊害はほぼ解消したと言えますが、3メガバンクプラスワンのルーツは、救済を含めて、さまざまな事情があることは間違い無いのです。

2 金融機関の「血筋」を知ることで、メインバンクとの適切な付き合い方が見つかる
メガバンクもさることながら、地方銀行や第二地銀も合従連衡が進んでいます。
メガバンク同様、地銀や第二地銀でも、財閥系列を超えた経営統合が進んでいますし、地銀(いわゆる第一地銀)と第二地銀(第一地銀と区別して呼ばれる。旧相互銀行)とで、業態が違う銀行同士の経営統合も珍しくなくなりました。
北出は、第一地銀と第二地銀が統合した地方銀行を1.5地銀と勝手に呼んでいますが、「うちは第一地銀で、第二地銀と一緒にされてたまるか」といった類のプライドにこだわっていられないほど、金融機関相互の競争は激化しています。
特に、関西、中でも大阪のように、西日本中の地方銀行が大阪支店を設けて、オーバーローンの域外営業店を進出させ、融資競争の激化に拍車をかけています。
大阪では高いシェアを握る現在の関西みらい銀行の場合、旧大阪銀行と旧近畿大阪銀行が合併してできた旧近畿大阪銀行と旧関西アーバン銀行が合併してできています。
旧関西アーバン銀行が三井住友銀行の子会社でしたが、りそな系列の旧近畿大阪銀行と経営統合に踏み切って、りそなグループの色を濃くしています。
三重県では、旧三重銀行と旧第三銀行が合併して三十三銀行として新たにスタートを切りました。
旧三重銀行は旧住友銀行の色が濃い第一地銀でしたが、第二地銀であった旧第三銀行との経営統合は世間から驚きを持って捉えられました。
このように、地方銀行や第二地方銀行でも、その生い立ちは様々で、合従連衡のためには、もはやなんでもありの世界です。
中小企業経営者は、「銀行なんてどこでも一緒やんか」と片付けるのではなく、自社のメインバンクの生い立ちを把握して、自社のメインバンクの色から適切なお付き合いの仕方を探る必要があるのです。