【中小企業の銀行対策】増収時に資金が忙しくなる理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、増収時に資金が忙しくなる理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 増収時には資金繰りがタイトになる
2 増収時の資金需要に対応するためメインバンクで当貸枠を設定してもらう
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 増収時には資金繰りがタイトになる
売上が増加すると、中小企業経営者としては、「よっしゃっ!」となり、ましてや、試算表上でも売上高が前年同月実績を上回ると経営者冥利に尽きると経営者としては感じるところです。
他方、増収となることは極めて良きことではありますが、意外にも「資金繰りがタイトやなあ」となりがちです。
「なんで売上が増えているのに資金繰りがタイトになるんやろ?」
少なからぬ中小企業経営者がふと疑問に感じるところです。
増収時に資金繰りがタイトになるのは中小企業ならではの特徴といえます。
その理由は、製造業の場合、原材料を事前に仕入れたり、自社ではこなしきれない部分を外注業者に外注に出すと、原材料の仕入分と外注費の支払がどうしても先行してしまいます。
また、原材料を仕入れて実際に製造現場で生産を行い出荷できるようになるまでのリードタイムがどうしてもかかってしまいます。
おまけに、お客様に納品し、締日支払日に起算して請求書を起こして、お客様の会社から振込入金されるまで、下手をすると2ヶ月、3ヶ月もの時間が必要となったりします。
資金繰り上では、仕入先や外注先から「はよ払ろてくれ」とせっつかれる一方で、取引の力関係上相対的な力の強いお客様には「早めにお支払いをお願いします」とはなかなか言い難いというのが現実です。
このように、増収局面であればあるほど、資金繰りはタイトになってしまうのです。

2 増収時の資金需要に対応するためメインバンクで当貸枠を設定してもらう
中小企業で、増収時に資金がタイトになる資金需要のことを、「増加運転資金」と言います。
「増加運転資金」は、増収という会社にとっては非常に喜ばしい状況にあることの証左なので、金融機関としても取り組みやすい融資案件です。
この「増加運転資金」の融資を受ける際、もちろん、返済期間が5年間の長期の証貸でも良いのですが、「増加運転資金」が必要となる増収局面がどのくらい続くのか、保証はありません。
このため、「増加運転資金」の調達にあたっては、長期の月次約定返済付きの証貸ではなく、極度枠のついた当座貸越(借りる側からすれば当座借越)が理想的です。
極度枠は、50百万円とか、30百万円といった枠取りをしてもらって、その枠内であれば、いつでも借りられるし、いつでも返済できるという柔軟な融資形態です。
ところが、当座貸越は、どの会社でも枠取してもらえるわけではなく、しっかりと利益が出ていて、財務面でも安定した財務内容であることが求められます。
採算が悪化すると、当座貸越は、借りる一方となり、返済はできず、早晩、当貸の残高が極度枠の天井には達してしまうからです。
当貸の残高が極度枠の天井に張り付いたままになってしまうと、次回の当貸枠の更新ができず、手貸や約定返済付きの証貸に借り換えることになってしまいます。
当貸の理想的な利用方法としては、仮に支払日が月末であれば、毎月27日頃に月末の総合振込をカバーできるよう、当貸で資金調達して、月末のお客様からの振り込み入金分で、翌月5日までに完済してしまうというのが望ましい形といえます。
尚、小規模な金融機関の中には、約定返済付きでないと対応してくれない金融機関があるので、増加運転資金が必要となるようになれば、会社のステージも上がることになるので、当貸の極度枠を設定してもらえる然るべき金融機関にメインバンクをシフトさせていくことも検討すべきです。
このように、増加運転資金をタイムリーに調達できるような銀行取引を実現しておけば、お客様からのオーダーに柔軟に対応することができるようになります。
中小企業経営者は、金融機関の資金調達方法によって、会社をよりステップアップできることを認識して、常日頃からの取引金融機関との信頼関係作りが必要なのです。

