【中小企業の銀行対策】特殊要因が重なる8月を迎えるに当たって経営者が心得ておくべき事柄とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、特殊要因が重なる8月を迎えるに当たって経営者が心得ておくべき事柄について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 8月は繁忙期か閑散期
2 8月の特殊要因を踏まえて資金繰りをコントロールする

どうぞご一読下さい。

 

1 8月は繁忙期か閑散期

毎日暑い日が続きますが、今日は7月の月末。
明日からいよいよ8月が始まります。

8月は、業種や業態によって、繁忙期であったり、閑散期であったりします。
繁閑の差が大きな代表的な業種を参考に、8月を迎えるに当たって、経営者が心得ておくべきことについて掘り下げてみることにします。

新型コロナうウイルス感染拡大の影響を受けた飲食業や宿泊業といったサービス業は、実に3年振りに規制のない8月を迎えることになります。
サービス業各社は、コロナ禍以降、単月で最も売上が伸びることが予想されます。
コロナ禍で十分な営業ができなかったサービス業各社にとっては、待ちに待った本格的な夏です。
更に、関西では、大阪市内を中心に、インバウンドが戻ったこともフォローになります。
売上が伸びる、現金売上が相応にあるサービス業では、資金繰り表上の「経常収入」も一気にマシマシです。

売上が伸びるから両手をあげて喜べないところがアフターコロナの辛いところです。

原材料と人件費の上昇によって、繁忙期の原価や労務費が、もしかすると売上の伸び以上に増加することが懸念されます。
下手をすると、増収減益といった状況が生まれかねません。
発生ベースの原価と労務費の管理を徹底することが経営者の腕の見せ所です。

一方、建設業では所謂「盆またぎ」の現場を施主さんが嫌ったりするので、工期の長い工事物件を除くと、お盆を挟んで、一旦、現場が途切れてしまいがちです。
そうなると、受注ベースでは物件があるにもかかわらず、お盆で現場が途切れると、完工が後ずれしてしまいます。
「ニッパチ」とはよく言ったもので、2月同様、8月も暇になってしまう建設業者が少なからず存在します。
また製造業では、特に自動車メーカーが長めの夏季休暇に突入するため、下請け、孫請け、ひ孫請の下請け業者もメーカーに合わせるように夏季休暇を取ることが多いため、納品ベースでの売上が伸び悩んでしまいます。

このように、業種、業態によって、8月は繁閑の差が大きくなってしまうのです。

2 8月の特殊要因を踏まえて資金繰りをコントロールする

次に、8月の特殊要因について、資金繰りの観点から考えてみることにします。

現金回収がそこそこある飲食業等のサービス業の場合、8月度は売上増に伴って、現金回収が増加するので、資金繰り表上の「経常収入」は増加します。
日銭が入ってくると、経営者はどうしても甘くなりがちです。
一方で、原材料にせよ、人件費にせよ、8月のハイシーズンに高騰した仕入や労務費の支払は9月度に回ります。
8月度に「キャッシュリッチになった!」と喜んでいると、9月の支払金額の多さに愕然としまいかねません。

また、お盆またぎで完工が後ろ倒しになる建設業の場合、完工が9月、10月にずれ込むと、施主さんや元請業者さんからの入金も後ろ倒しになってしまいます。
この暑さの中ですし、慢性的な職人不足によって、工期が想定よりも遅延することもなきにしもあらずです。

資金繰りの観点からすると、売上高は、毎月ほぼ横ばい推移となることが理想的です。
しかしながら、売上高の山がピークになる場合は、増加運転資金が必要となりますし、完工の後ずれが予想される場合には、メインバンクから引当(紐付き)の短期資金を調達する必要が出てきます。

金融機関は暦通り営業していますが、外回り(営業課とか渉外係とか)の担当者や本部の審査部や融資部の調査役はお盆期間中に連続休暇を取得することが多いので、いつも以上に稟議に日数がかかることもなきにしもあらずです。

このように、繁忙期や、あるいは閑散期となることが予想される8月だからこそ、最低でも向こう3ヶ月先まで、資金繰り表で資金繰りをシミュレートして、瞬間的な資金ショートが予想される場合は、メインバンクから「もっと早く言ってよ〜」と言われないために、メインバンクに一刻も早く資金の要請をする必要があるのです。

 

【中小企業の銀行対策】金融機関のいう「コンプライアンス」との理想的な付き合い方とは?も併せてご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご覧下さい。

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