【中小企業の銀行対策】決算書の信憑性を上げるために必要なこととは?
今日は、中小企業の銀行対策として、決算書の信憑性を上げるために必要なことについて考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 決算書の計上方法は一貫していなければならない
2 決算書が最大の与信判断材料である
どうぞ、ご一読下さい。
1 決算書の計上方法は一貫していなければならない
「どうせ、中小企業の決算書なんてええ加減なもんや」
どこかの中小企業経営者が思わず口走ってしまうような言葉です。
株主が不特定多数である上場企業だと話は違います。
決算書(有価証券報告書)を投資家が閲覧して、同業他社と比較した収益状況や配当での還元率などを加味して、株式を購入する判断材料とするわけですが、そもそも、中小企業が原則年一回決算を行う最大の理由は、「税金を計算する」ためです。
なので、「収入」ー「費用」=「所得」に対して課税される法人税がいくらなのか、あるいは、仮受消費税と仮払消費税の差額分を確定分として納めるべき消費税額がいくらなのかというのが、中小企業経営者の大きな関心事です。
そういう考えに捉われてしまうと、PLが全てで、BSは添え物という発想になってしまいます。
法人税の額が経営者が納得できる金額であれば、売上、費用、在庫の計上基準も適当で、その時々で都合の良いようにすれば良いとなってしまいがちです。
ところが、売上、費用、在庫の計上基準が適当であれば、ともすると、それらの計上には一貫性が保たれません。
ましてや、BS上の現預金、売掛金、在庫等の「現物」が適正に計上されていなければ、「この決算書はあてにならん」という話になってしまって、会社の信用にも傷がつきかねません。
このように、決算書に必要なことは、「一貫性が保たれていること」なのです。
2 決算書が最大の与信判断材料である
中小企業経営者の立場として、決算書の一貫性を保ち、信憑性を上げなればならない最大の理由が、「決算書が金融機関の最大の与信判断材料であること」に他なりません。
もちろん、代表者個人の資質を見極めたり、会社が持っている技術水準など、決算書の現れない「定性的要素」を金融機関の余震判断材料にすることを行政庁は金融機関に求めています。
しかしながら、もしも北出が金融機関営業店の部店長’(支店長等)で、外回りの担当者が「支店長、この会社の社長の人柄は抜群です。なんとか支援したいのですが」と食い下がってきたとしても、決算書に疑義があったり、試算表がいい加減だったり、資金繰り表が杜撰であったら、「おい、お前、分かってんのんか? そりゃ、お前の気持ちもわからんではないけど、この会社の決算書、おかしいやろ。焦げついたらどうするつもりや! 顔洗って出直してこいや」の一言でおしまいです。
残念ながら、現状であっても、金融機関の与信判断の現場では、決算書を代表する定量的要素70%以上、数値には現れない定性的要素は30%未満というのが正味のところです。
PLでは、売上、費用等を発生ベースで計上するのはもちろん、現預金、在庫、売掛金といった「現物」が適正に計上されているBSがあってこそ、初めて、金融機関としては、与信判断に移ることができるのです。
中小企業経営者は、安定的に必要な資金を取引金融機関から調達するためにも、会計事務所任せにすることなく、自社の決算書の信憑性を高め、特にBSの透明度を上げることに経営資源を割く必要があるのです。