【中小企業経営者の心得】永遠にお盆休みとなる取引先に注意を払うべき理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、永遠にお盆休みとなる取引先に注意を払うべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 業界内の信用不安説は当たらずとも遠からず
2 貸倒損失は会社に大きなダメージを与える

どうぞ、ご一読下さい。

1 業界内の信用不安説は当たらずとも遠からず

今日は8月7日。
この週末は山の日の3連休で、来週は、事実上夏季休業の会社が多くなり、世の中はお盆休みモードに突入します。

そんな平和なお盆休みですが、法的措置に踏み切る会社にとっては、Xデーとしやすい期間です。
法的措置、中でも法的措置の大半を占める破産手続きの場合、破産手続きの準備に入りやすいタイミングです。
従業員は皆、休みで会社はもぬけの殻なので破産に向けて整理をしやすい頃合いです。
会社の出入り口に代理人弁護士に破産手続きの準備を一任する旨の張り紙が貼られていても、遠目には、夏季休業を告知する張り紙にしか見えません。

一方、法的措置に強い弁護士先生は、お盆休みを返上して、破産手続きへの準備に向けて、債権者への通知や債権者名と金額をまとめたリスト作りで大忙しです。

お盆休みが終わって、出社してきた従業員は、会社に到着して、鍵が交換されていて中に入ることができず、代理人弁護士先生の名前で会社が破産手続きに入ることを記載した張り紙を見て初めて、自分たちが失業した現実を認識して、一目散で失業給付の手続きのため、労働基準監督署に殺到します。
取引先の営業担当者も、お盆休み明けに出社をして、お盆休み中に、ファックスで代理人弁護士先生から送られてきていた通知書を手に、お客様の会社に営業車で乗りつけますが、同じような立場に置かれた他の会社の営業マンと同様、売掛金が貸し倒れた事実を受け入れざるを得なくなります。
もちろん、特に、業界内では、「あの会社は、そろそろ危ないかもしれない」という類の信用不安が流れているケースがほとんどです。
倒産前の会社にはいろいろな兆候が出ているのが常なので、業界内の信用不安は「当たらずとも遠からず」なのです。
売上を作らない営業担当者としては、業界内の信用不安が出たからといってすぐに取引を切ってしまうことはできませんが、貸倒損失を発生させてしまった営業担当者は、最低でも始末書ものです。

中小企業経営者としても、場合によっては「売らない決断」をする必要があるのかもしれません。

【中小企業経営者の心得】永遠にお盆休みとなる取引先に注意を払うべき理由とは?

2 貸倒損失は会社に大きなダメージを与える

もとより、我が国の商慣習として、信用取引が挙げられます。
諸外国では、キャッシュオンが通常ですが、受注をし、納品をして、締日支払日に合わせて請求書を発送して、お客様からの入金を待つと言うのは、お客様、得意先を信用しているからに他なりません。

しかしながら、信用取引を行う以上、貸倒リスクは切っても切れないリスクです。
実際、5百万円の貸倒損失が発生した場合、売掛金5百万円が未収となってしまうことに加えて、5百万円分の財・サービスが失われてしまいます。
5百万円の貸倒損失を営業外費用として計上する場合、その貸倒損失をカバーするためには、5百万円の営業利益が必要となってしまいます。
売上高営業利益率20%の優良企業であっても、5百万円の貸倒損失をカバーするために必要となる売上高は実に25百万円にも達します。
さらには、売掛金5百万円が不量化することで、純資産(株主資本合計)も5百万円棄損してしまうので、実態ベースのBS(貸借対照表)にも甚大な影響を与えてしまいます。
また、見込んでいた売掛金の回収ができなくなるため、資金繰りにもネガティブな影響が出てしまいます。

このように、中小企業にとって、貸倒損失は会社の財務的価値を大きく痛めてしまいます。
中小企業経営者は、信用取引を行う以上、貸倒損失を完全にゼロにすることはできませんが、貸倒損失を極力0に近づけるための不断の経営努力が必要となるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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