【中小企業の銀行対策】今更聞けない手形割引の常識とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、今更聞けない手形割引の常識について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 紙の手形の流通量は激減している
2 手形割引の常識

どうぞ、ご一読下さい。


1 紙の手形の流通量は激減している

かつては業種、業態を問わず、広く流通していた紙の手形ですが、その流通量は、電子債権の普及によって、激減しています。
紙ベースの手形交換枚数のピークが1979年の4億3,486万枚でしたが、直近の2023年度では、3,009万枚に過ぎません。
また、2022年11月には、全国に存在していた手形交換所が廃止され、全国電子交換所として統合されています。

紙ベースの手形が商いの主流であった時には、多くの中小企業が資金繰りに充てるため、手持ちの受取手形を銀行で割り引いて、資金化しました。
金融機関としても、割引手形は収益の柱の一つで、金融機関営業店では、月末近くに手形を融資先から持ち込んでもらって、月末に割引手形を実行していました。

紙ベースの手形の流通量が激減した中でも、弊所のお客様の中小企業の主力得意先が半金半手であるため、今でも、メインバンクで割引を実行してもらっています。
今後は、益々紙ベースの手形から電子債権への移行が進んでいくことが予想されるため、紙ベースの割引手形は益々少なくなっていく予感ですが、次の章では、今更聞けない手形割引の常識について考えてみることにします。

2 手形割引の常識

手形割引とは、期日が来ていない受取手形を金融機関で割って、資金化することです。
金融機関は、期日までの割引料(支払利息と同じ)を日割りで差っ引いて、当座預金や普通預金に入金します。
手形割引の法的性格は、手形の売買に当たり、金融機関は割り引いた手形を期日に交換所を通じて落ち込んで、回収します。
万が一、割り引いていた手形が不渡になれば、金融機関は割引を実行した融資先に「買い戻し特約」に基づいて「迎えに行ってもらいます」。
このため、金融機関にとっては、割引手形は低リスクの融資の一形態ということができます。

また、少額の手形は「雑手形」と言い、割引の対象としないケースが多くみられます。
多くの場合、金融機関は、手形の銘柄を限定したり、銘柄毎に限度枠を設けたりします。
金融機関は、銘柄の信用度を把握するため、帝国データバンクのCosmos2や東京商工リサーチのtsr-vanなどの簡易なデータを照会することもあります。

中小企業経営者は、紙ベースの手形を受領していたとしても、得意先が電子債権へ移行する可能性を見据えて、電子債権への対応を今から進めておく必要があるのです。

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