【中小企業の銀行対策】会社のおカネを粗末に扱ってはいけない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、会社のおカネを粗末に扱ってはいけない理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 小口の経費でもその必要性を検証する
2 会社のおカネは個人のものではない
どうぞ、ご一読下さい。
1 小口の経費でもその必要性を検証する
ようやく落ち着きを取り戻したとはいえ、依然として円安による物価高や原材料高は解消しそうにありません。
試算表にせよ、決算書にせよ、製造原価や販管費は謂わば「費用の集合体」です。
売上が大きく伸びず、原価が上がり、経費も嵩む現状では、営業損益では減益となってしまいます。
このような状況下だからこそ、これまでの購買行動を見直し、必要に応じて相見積もりを取ったり、事務用消耗品であれば地元の文具屋さんではなく、ネット通販を活用するなど、会社を挙げてコスト削減に取り組む必要があります。
それが、数千円、数百円の小口経費であってもチリも積もれば山となるので、小口経費の一つ一つを検証する良い機会でもあります。
また、慣用的に購入していたものであっても、必要性の薄いものであれば、購入を見合わせるようなことも必要かもしれません。
製造原価内の原材料費や外注費は折に触れてコスト削減に取り組んでいるものですが、小口経費を含めて、トヨタ式ではないけれど、乾いたタオルともう一段絞るような経営努力が求められるのです。
2 会社のおカネは個人のものではない
コスト削減の必要性を経営陣から従業員まで広く浸透させるために不可欠なことが、会社のおカネを粗末に扱ってはならないということです。
不届な社員がいて「どうせ、会社のカネなんやから適当でええやんか」という意識が万が一にも存在すれば、コスト削減を実現することはできません。
それ以上、経営者自身が会社のおカネを率先して丁寧に扱うことが最も肝心です。
出金伝票1枚1枚に目を通す時間はないかもしませんが、「この経費は適正か?」という意識を経営者自身が実践することがコストカットへの第一歩です。
ましてや、経営者保証ガイドラインの世の中ですから、会社と個人を一緒くたにすることは許されません。
会社の経費で落とせない領収書ができてしまうと、仮払金や立替金、貸付金といった資産勘定が増加してしまいます。
会社の経費で落とせない仮払金、立替金、貸付金は、会社にとって、費用性が発生したり資産性が認められず、不良資産となります。
金融機関の自己査定で、社長向けの貸付金等は査定対象となって、実態BSを毀損してしまいます。
これでは、金融機関での債務者区分、信用格付けを上げることはできず、借入金の適用レートの引き上げを招き、支払利息が増加します。
このように、経営者自身が、会社の費用を適正に扱うことは極めて重要です。
中小企業経営者は、率先して会社の費用を適正化すると共に、金融機関向けに実態BSの健全化に努めていく必要があるのです。