【中小企業の銀行対策】「実質無借金」の功と罪とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、「実質無借金」の功と罪について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 実質無借金はほぼリスクフリー
2 実質無借金の罪もある

どうぞ、ご一読下さい。


1 実質無借金はほぼリスクフリー

借入金が多くて、取引金融機関との関係に腐心を余儀なくされる中小企業経営者がいる一方、「実質無借金」の会社も存在します。

「実質無借金」とは、その気になればいつでも手持ちの現預金で借入金を完済できることを言います。

例えば、金融機関借入金が70百万円ある一方で、当座預金の平残(平均残高)が50百万円、定期預金等固定性預金が30百万円であるようなケースが「実質無借金」です。
借入金が70百万円、流動性預金平残50百万円、固定性預金30百万円(現預金がコンスタントに80百万円)を保有していれば、よほどのことがない限り、BSは健全で、大きく資産超過となることが想定されます。
預金取引もないようなお初の金融機関の新規専担(新規融資開拓専門の担当者のことを言う)が日参してくること、間違いなく、未取引の金融機関にとっては、新規融資のターゲットに十分なりうるような謂わば「優良企業」です。
実質無借金経営は、「堅実経営」ということもできるかもしれません。
預金が借入金を上回る状況が続いていれば、ほぼリスクフリーの状態ということができます。

万が一、金融機関との間で、揉め事があったり、トラブルが発生した場合には、「そんな面倒なことやったら、借入金全額を預金と相殺させてもらいます」と啖呵を切ることもできます。
ただし、啖呵を切るのは万が一の時の対応にとどめておく必要があります。
コロナ禍のような非常事態がいつ起きるともわからないので、実質無借金だからといって、金融機関と揉めるのは、当たり前ですが、得策ではありません。
何を置いても、喧嘩別れはダメです。
伝家の宝刀はいつでも抜けるけれど、抜いたら最後、決して抜いてはならないのです。

【中小企業の銀行対策】「実質無借金」の功と罪とは?

2 実質無借金の罪もある

借入金が大きな中小企業経営者からすれば、「実質無借金」は羨ましく感じられるかもしれません。

堅実経営の象徴のような「実質無借金」ですが、功もありますが、罪がないわけではありません。
「実質無借金」の罪とはどのようなものでしょうか。

いざ、「実質無借金」になると、経営者は、「守り」に入ってしまいます。
増収を目指すと「増加運転資金」が必要になるので、「売上は横ばいで良い」になってしまいますし、設備資金を借りて新たな設備投資まではしないとなれば、生産性は向上しません。

これでは、「現状維持」が第一になって、会社を成長させようという経営者のモチベーションにはつながりません。

何よりも、北出が感じているのは、経営者という人々は皆、リスク指向が強いので、リスクを取ってでも、会社を大きくすることに強い意欲を見せます。
なのに、「現状維持で十分」となってしまうと、経営者としての醍醐味をほとんど失ってしまいます。

このように、堅実経営の象徴である無借金経営の意義は大きいのですが、一方で、「経営者としての醍醐味を味合わないのはもったいなく、それで楽しいんですか?」とふと疑問を感じてしまいます。

もちろん、経営者には、いろいろな方がいて、リスクテイクへの姿勢もそれぞれです。
ですが、サラリーマンじゃあるまいし、実質無借金で安住するのではなく、リスクをとって会社を大きくしようとする経営者を北出はこれまで以上に応援していきたいと考えています。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい

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